忘れな草の恋 30

30-24 どう泳げば良い ページ24

■ LeeTeuk ■

ｼﾝﾄﾞﾝの話を聞きながら、頭の片隅にある人を思い浮かべていた。

ｼﾝ・ｼｳさん……。あの人にｲﾄｩｸは流され易い性格なんじゃないか、と言われた事を思い出していた。

あの時少しムｯとしてしまったのは図星を突かれたから…だろうね。

僕は決して、ﾋﾁｮﾙみたいに自分の目で見たものしか信じないと強い意志の元に動ける人ではない。

周りの目も声も気になってしまうし、気にしてしまうが故に耳にした情報に左右されがちになる。

きっと…多分、Aの事だと余計にね。

自分の中にあるAの情報量が少なすぎるからだと思う。

ﾗｲﾊﾞﾙから聞けば余計に嫉妬するに決まってるのに……バカだな。

「えっと…何か話過ぎた？言い過ぎた？」

ｳﾆｮｸがｷｮﾛｷｮﾛと皆の顔色を窺うと皆は首を振った。

確かに…。本来ならｳﾆｮｸの話は上手に泳ぐための水になるはずだったのに、今のﾄﾞﾝﾍはすっかり溺れてしまっている。

今ﾄﾞﾝﾍに聞かせても意味はないという事は僕も思っていた事だったのに、ﾋﾁｮﾙ達に話を聞かせろと言ったのはもしかしたら自分のためだったのかも知れない。

どんどん自分が情けなくなる一方だ。でもそんな自分は嫌だから、僕も一度頭の中を整理させる時間を作った方が良さそう。

それならここでお開きにした方が良いのかな――。

そう考えていた時、ｼﾝﾄﾞﾝがまた気になる事を言い出した。

「……失礼な事言ってみても良い？皆、怒らないで聞いてくれる？」って。

ﾋﾁｮﾙ「何だ？言ってみろ」

ｼﾝﾄﾞﾝ「Aって凄く優しくて良い人だけど……友達少なそうだよな」

ｳﾆｮｸ「えっ？何でそう思ったの？」

誰よりも早く食い付いたｳﾆｮｸ。ｳﾆｮｸがこんな風に食い付くと、何かがあるんじゃないかと思ってしまう僕は、かなり影響されてる。

ﾄﾞﾝﾍ…、僕も同じく溺れてるよ。得た水でどう泳げば良いのか分からない。

ｼﾝﾄﾞﾝ「いやぁ、ｳﾆｮｸの話だけ聞いてたら…ちょっと取扱いが難しいって言ってた意味も分かるんだよなぁ。だからさ、Aの事を凄く好きじゃないと……付き合い切れなくなりそう」

ﾋﾁｮﾙが舌を打つ。それもかなり怒りが込められているやつ。その横でも同じく怒りを燻すｲｪｿﾝがいる。

ｿﾝﾐﾝもﾘｮｳｸも仏頂面になっていると言うのに、僕のﾗｲﾊﾞﾙであるｳﾆｮｸは「あぁ…」と納得したように小さく零した。

ｳﾆｮｸまで…何で――。

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