忘れな草の恋 30

30-23 溺れたお魚さん ページ23

■ SungMin ■

その人の人柄が分からない内に取扱いが難しいと聞いて、ただ単純に面倒くさい人なのかなと思ったらしい。

ｼﾝﾄﾞﾝ「別に良い人っぽいなとは思ってたよ？」

挨拶をするためにわざわざ部屋から出て来てくれたり、年下の自分に敬語を使ってくれたり。

ｼﾝﾄﾞﾝ「良い人でも若干面倒くさい人はいる…だろ？」

ｼﾝﾄﾞﾝがそう言うと全員が自然に首をくるりと動かした。

これで誰が誰を若干面倒くさいと思っているのかが分かってしまう事になり、ｲｪｿﾝ兄さんが大きく目を見開いた。

票は割れたけれど、その中でもｲｪｿﾝ兄さんが多く票を集めたせいだ。

少し妙な空気になったけれど、ｲｪｿﾝ兄さんが気にしているのは―、

「ﾘｮｳｸは俺を面倒くさいと思ってるのか？」

そう、ﾘｮｳｸが送った視線。その一票のみ。

ﾘｮｳｸも真顔で頷いてるし、こんなのいつもの事だし、気にせず話の続きしちゃってー。

ｼﾝﾄﾞﾝ「Aが何かを伝えようと必死になってるのを見て、そこであぁ、ｿﾝﾐﾝと同じで小さな事を気にしてしまう人なのかもと思った」

ﾋﾁｮﾙ兄さんが言いたいのは、人からの情報だけだと何かしらの先入観を持って見てしまうんじゃないかって事なんじゃないのか―。

ｼﾝﾄﾞﾝが同意を求めるようにして顔を向けた先のﾋﾁｮﾙ兄さんが静かに頷いた。

加えてｼﾝﾄﾞﾝは、ｲｪｿﾝ兄さんの珍発言の事についても自分が思った事を話してくれた。

答えだと言うから小難しくなるだけで、要はそれぞれの付き合い方があるだろうという事なんじゃないか―。

ｲｪｿﾝ「俺が言いたかったのはそれだ！ｳﾆｮｸが話した事はｳﾆｮｸとAとの……うん、そういう事だ」

何かまた上手く説明出来なかったようだけど、でも何か凄く嬉しそう。

ｼﾝﾄﾞﾝ「兄さん達が話さないのは絶対何か考えがあっての事だと思うから、俺は無理に聞かなくても良いと思う。少なくとも今は」

ｼｳｫﾝ「確かに…一度にあれこれ聞いても正直頭が追い付かなくて…僕も少し頭を整理させたい」

ﾘｮｳｸ「その時間も必要だね。お魚さん…溺れちゃってるもんね」

ﾊﾝｷﾞｮﾝ「今は何言っても聴こえないだろうね」

ｶﾝｲﾝ「あぁ、だな。すっかり鰯に牛耳られちまって…その鰯も鵜呑みにするなって何度も言ったのにな」

皆の視線はﾄﾞﾝﾍに向いたが、落ち込見過ぎて心ここに有らずのお魚さんは反応せず、ｳﾆｮｸが一人気まずそうに頬を引きつらせる。

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