忘れな草の恋 30

30-21 初耳 ページ21

■ KyuHyun ■

携帯で撮った写真を見せるのが恥ずかしくて曲の話をしようと提案したが、形になっていないものをどう説明すれば良いのかが分からないらしい。

それで俺は、当初言おうとしていた事を話した。

父親か新郎かで迷っているという話だったが、結婚式のどの場面かによって違って来るんじゃないかという事――。

ｷｭﾋｮﾝ「Aの描いた世界には庭があるって言ったろ？その庭一つで変わって来ない？」

A「庭で？」

ｷｭﾋｮﾝ「例えば庭で挙式をするとしたら、階段をﾊﾞｰｼﾞﾝﾛｰﾄﾞにして父親と花嫁が上から来て、踊り場で新郎に交代しても不自然じゃない」

Aは何も言わないが、小刻みに頷いているから想像を膨らませてくれていると思う。

ｷｭﾋｮﾝ「他にも庭で披露宴を行う場合や写真撮影をする場合なら、それはそれでまた変わるし。結局は新郎か父親で迷うけどな」

A「なるほどぉ。挙式の事しか考えてなかった。結婚式行った事ないからなぁ」

ｷｭﾋｮﾝ「行った事なくても調べられるだろ？世界を作るなら色々と調べたりしないの？」

A「調べる事もあるけど、影響されるのが嫌であまり見ないようにはする…かな」

ｷｭﾋｮﾝ「見ないように？」

A「人に聞いて想像して作る方が多い。でも作られた世界に曲を付けるのも大好きだよ？よくそうして遊ぶし」

普段の私生活が覗ける気がして、この話を膨らまさない手はないと思った。

そしてどう遊ぶのか聞いてみれば、逆にAの方からｷｭﾋｮﾝはｹﾞｰﾑが好きなんだよね、と質問が返って来た。

ｷｭﾋｮﾝ「……ﾁｬﾝﾐﾝのやつ」

A「違うよ？ﾘｮｳｸとうにょ…くが……」

変な所で言葉を切ったなと思ったら、小さく顔を歪めて咳払いをしながら喉を摩り出した。

ｷｭﾋｮﾝ「大丈夫か？」

A「大丈夫。ちょっと詰まっちゃった。ごめんね？それで、その二人が随分前に言ってた」

いつだと尋ねるとAが俺達のところに来た2日目の事だと言う。

ｲｪｿﾝ兄さんに初めて会った日だと言うから、思い返してみれば確かに俺は部屋でｹﾞｰﾑをしていた。

A「それで私も好きだって言ったらね？何か感心されちゃって」

Aはその時を思い出すようにして笑っているが、俺は初耳なんだけど！

あいつら…、何がAの好きなものを知らないだ！知ってたんじゃないかよ！

まぁ、かと言って誕生日ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄにｹﾞｰﾑｿﾌﾄとか渡したくはないけどさ…。

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