忘れな草の恋 30

30-18 ｿﾝﾐﾝの心の中 ページ18

■ SungMin ■

「兄さん…落ち着いて。皆考え方が違うんだから怒っても意味ない」

怒り出してしまったﾋﾁｮﾙ兄さんを宥めたのは、ｲｪｿﾝ兄さんだった。

ｲﾄｩｸ兄さんは少し苛々しているようで、僕としては兄さんの方に軍配を上げたくなった。

だって僕にも分からないんだもん。

ｲﾄｩｸ「そもそも何があったのかを報告し合って、ﾄﾞﾝﾍの相談にも乗ってあげながら皆で答えを出す為だったはずでしょ？」

その通り。それなのに情報交換を拒むだなんて。兄さんは何を考えているんだろう。

それから僕はどうすれば良いんだろう。言わない方が良いの？

ｲｪｿﾝ「答えなんてない。それぞれが出す考えが答えで、でもそれが正解か不正解かなんて分からない。だから俺や兄さんは言わない方が良いんじゃないかと判断した」

デタデタ……兄さんの意味は分からないけど、絶対意味があるんだ発言。

ﾘｮｳｸ「兄さん、分かんない。何かまた言葉抜けてるんじゃない？」

僕の隣でﾘｮｳｸが真顔で突っ込む。いや、注意した。

ｲｪｿﾝ兄さんはゆっくりと腕を組み首を捻る。つまり只今抜けてるかも知れない言葉を模索中。

するとﾋﾁｮﾙ兄さんが舌打ちをし、面倒くさそうにしながらも口を開いた。

ﾋﾁｮﾙ「ﾄﾞﾝﾍにはｳﾆｮｸが充分だと思うくらいの事を言った」

ｲﾄｩｸ「そうだけど、ﾋﾁｮﾙ達の話や意見も聞かせてあげてよ。可哀相じゃないか」

ｲﾄｩｸ兄さんが眉を下げると、ﾋﾁｮﾙ兄さんは余計に苛立つようにして溜め息をつく。

兄さんの中で思う事があっても、それを言ってくれなきゃ僕達には分からないんだから苛々されても……ねぇ、ｲﾄｩｸ兄さん。

僕はﾋﾆﾑに逆らう勇気はないから、心の中でｲﾄｩｸ兄さんにｴｰﾙを送るだけなんだけど…。

ﾋﾁｮﾙ「可哀相に見えるのはﾄﾞﾝﾍが今落ち込んでいるのを見てるからだろ？」

ｲﾄｩｸ「そうだよ？」

ﾋﾁｮﾙ「んじゃ、Aの事は心配してるか？」

ｲﾄｩｸ「そりゃ、そうでしょ！心配するに決まってる」

ﾋﾁｮﾙ「何についてだ？」

ｲﾄｩｸ「……僕は気付かない内に傷つけたりしてなかったかなって」

そう答えた瞬間に、ﾋﾁｮﾙ兄さんはハンｯと息を漏らしてｲﾄｩｸ兄さんを嘲笑った。

あぁ…ｲﾄｩｸ兄さん…。

ﾋﾁｮﾙ兄さんったら、皆が皆兄さんみたいに根本だけを捉えらるわけじゃないんだから、バカにしなくても良いでしょ。

だけど僕は心の中でｲﾄｩｸ兄さんを慰めるだけなんだけど…。

30-19 なぞなぞの答え→←30-17 こちらこそ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す