忘れな草の恋 30

30-17 こちらこそ ページ17

■ A ■

近づき過ぎないようにと思ってるのに、今…ｷｭﾋｮﾝに頭を押えられて思い切り彼に寄り添う感じになってしまっている。

その戸惑いと、それとはまた違った意味でもちょっぴり緊張しています。

相手は男の子で、一応私は女の部類に入っているはずだし……だってくっ付いてるんだよ？モロに体温感じるんだよ？

戸惑いと焦りとであわあわなっている間に、ｷｭﾋｮﾝが構える携帯がﾋﾟｶｯとした光とｼｬｯﾀｰ音を放った。

……ん？今、頭に何か触れたよね？ｷｭﾋｮﾝの顎？いや、そんなに突き刺さる感じではなかった。

ｷｭﾋｮﾝ「よし。明日ﾁｬﾝﾐﾝに送ろっと」

手が離れたから頭を起こしてｷｭﾋｮﾝを見ると、携帯をﾎﾟｹｯﾄにしまっているところだった。

ｷｭﾋｮﾝ「目がﾁｶﾁｶする」

A「確かに。あの……今撮ったの見せてくれないの？」

ｷｭﾋｮﾝ「ん？Aにも後で送るよ。それより、そろそろ曲の話しよ？」

そう言ってｷｭﾋｮﾝはﾆｯｺﾘとした笑顔を見せた。

さ、爽やか……。まるでｱｲﾄﾞﾙが見せる様な笑顔で、口角も左右対象に綺麗に上がっている。

言っても彼は正真正銘のｱｲﾄﾞﾙなわけだし、この凄く素敵な笑顔も似合うのだけれど、でも……何か誤魔化されているような…。

ｷｭﾋｮﾝ「どうした？」

そう聞かれれば首を振ってしまうんだけど、どんな写真だったのか気になる。

恐ろしく不細工に写ってしまっているんじゃないかと不安だ。

……でもあまりしつこく聞けない。

だって私にも言えない事が沢山あるのに、気になる事は知りたいだなんておかしいよね。

ｷｭﾋｮﾝは大人だなと感じる時が多々ある。

私が変な事してもあまり突っ込んで来ないし、冗談に変えてくれたり、合わせてくれたりもする。

A「そうだ！あの時ありがとう。私のバカに乗っかってくれて」

どの時だと言わんばかりに不思議そうな顔をしているから、皆で飲んでいた時に私がﾜﾝﾋﾞｱｰﾌﾟﾘｰｽﾞとバカっぽく言った時だと説明した。

ｷｭﾋｮﾝ「あぁ、あれか。礼を言わなきゃいけないのはこっち。兄さん達が揉めてごめんな？場を和ませてくれてありがとう」

A「いえ、そんな！大した事は何も！」

首を振って否定しながらも少しだけ目頭が熱くなった。

私はありがとうの言葉を貰って良い様なやつではないから、少しでも役に立てたのだと思ったら嬉しかったの。

ありがとうの言葉をくれて、こちらこそありがとうだよ。

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