忘れな草の恋 30

30-15 話さない。 ページ15

■ LeeTeuk ■

ｼﾝﾄﾞﾝも眠そうにしているし、ｳﾆｮｸの顔色も悪いままだし、ｷｭﾋｮﾝからも連絡が来ないままだし、これ以上は時間を掛けられないと判断した。

結果的に落ち込んでいるﾄﾞﾝﾍを放置した形になるけどやむ得ない。

ﾄﾞﾝﾍが今抱えている想いは後で僕が聞いてあげれば良い。

ｳﾆｮｸの話もきっとあれだけじゃないんだろうけど、こんな状態のﾄﾞﾝﾍの耳には入らないと思う。

正直…、僕も自分の頭の中の整理がついていないんだからﾄﾞﾝﾍなら余計だと思う。

僕はAに求めてしまってばかりいるけど、気づかない内に傷つけていないだろうか…。

あ…ついつい自分の事を。気持ち切り替えなきゃ。

ｲﾄｩｸ「ﾋﾁｮﾙ、僕が仕切るけど良いよね？」

ﾋﾁｮﾙは軽く皆の様子を見渡してから首を捻った。

ﾋﾁｮﾙ「仕切るのは構わないが、俺は何も話さない」

ｿﾝﾐﾝ「えっ？どうして？」

ｿﾝﾐﾝみたいに声を上げたわけじゃないが、ｲｪｿﾝがその倍以上に驚いた様にﾋﾁｮﾙを凝視する。

ｶﾝｲﾝ「この期に及んで…ﾋﾁｮﾙ兄、それはねーだろぉ」

僕としてもｶﾝｲﾝと同意見で、そんな話がまかり通るとでも思っているのかと半ば呆れそうになった。

ﾋﾁｮﾙ「何と言われようが話す気はない」

ｲﾄｩｸ「ﾋﾁｮﾙ……お願いだから話して？」

僕は頼んだんだ。いつものようにﾋﾁｮﾙの機嫌を損なわないように注意を払いながら。

それなのに――・・

ﾋﾁｮﾙ「お前が言うなよ！お前には話さなくても分かるはずだろうがっ！分かってやれるはずだろうがっ！」

ﾋﾁｮﾙは怒ったように僕を睨む。

ｲｪｿﾝ「……あぁ、そういう事か。うん、それなら俺も話さない」

ｲｪｿﾝがそう言うとｿﾝﾐﾝが両手で口を押え、僕も話さない方が良いのかと二人に問うように首を傾げた。

ﾋﾁｮﾙ「強制はしねーよ。お前はお前だ。好きにしろ。ただ俺は話したくないんだ」

……意味が分からない。こんなのﾄﾞﾝﾍじゃなくても分からない。

ｲﾄｩｸ「分かるように言ってよ！」

ｲｪｿﾝ「Aは俺達の事が好きだよ。多分大好きだと思う。だから兄さんは話さないんだよね？」

ﾋﾁｮﾙは頷いたけれど、僕には理解が出来ずに苛々してしまって頭をかきむしるしかなかった。

ｲﾄｩｸ「だから分かり易く言ってって！これじゃﾄﾞﾝﾍを救ってあげられないじゃないか！」

ﾋﾁｮﾙ「……そうなんだよ。結局な。だから言わねーんだよ！」

何で…怒るんだよ。

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