忘れな草の恋 30

30-02 同じだった ページ2

■ EunHyuk ■

別にその場しのぎの言い訳で気持ち悪いと言った訳じゃなく本気のやつで、嫌な浮遊感がして一度目を閉じて頭を押えながら息を吐く。

だけどこうしながらも頭は働かせなくてはいけなくて。

ﾄﾞﾝﾍに何を言ってあげたら良いのか考えるけれど、上手く頭がまとまらないし、体調不良を理由にこの場から本当に逃げてしまおうかな。

そのまま逃げようとする気持ちに軍配を上げてやろうかとも思うけど、そうも行かない。

まだﾄﾞﾝﾍから昨日の話の続きも聞かなくてはいけないし。

Aの事も凄く気になって心配で今すぐ声を聴きたいけれど、Aにもどう話せば良いかなんて分かってない。

あぁ、僕はどうすれば良いんですか…。

重々しく息を吐き出すと、ｲﾄｩｸ兄さんやﾄﾞﾝﾍの心配してくれる声が聞こえたから目を開けた。

ｳﾆｮｸ「大丈夫。多分昨日寝てないから…そのせいで起きた軽い眩暈かな」

ｲﾄｩｸ「あ」

腕時計に視線を走らせて少し驚く様にして目を開く兄さん。

ｲﾄｩｸ「皆！本当に先に寝て？ｷｭﾋｮﾝにも連絡しようかな…」

辺りに目を走らせて初めて気づいたんだけど、ｷｭﾋｮﾝの姿がどこにも見当たらない。

ﾄﾞﾝﾍも同じく今気づいたのか「あれ？」と間抜けな声を出した。

ｲﾄｩｸ「ﾋﾁｮﾙ、どうしようか。Aも寝不足のせいで実は軽い眩暈を起こしてたんだよ」

「え？」と僕とﾄﾞﾝﾍは同時に声を出したが、心配事の内容が全く異なっていた。

僕のは眩暈についてだけど、ﾄﾞﾝﾍの心配はｷｭﾋｮﾝとAが一緒にいる事。

他の皆もAの身体の心配をしてるって言うのに、なぁﾄﾞﾝﾍ…それって何か違くないか？

ﾋﾁｮﾙ「一応連絡しとけ」

ｲﾄｩｸ「うん。ｳﾆｮｸ、話聞かせて？もう一回言うけど、ﾄﾞﾝﾍの気持ち分かるでしょ？」

口を開いたら兄さんがすかさず「同じだったｳﾆｮｸが一番…」という言葉を付け加えてﾆｺﾘと微笑んだ。

それを言われなかったら分からないと答えてしまっていた。

そうだ。僕はﾄﾞﾝﾍと同じだった。今のﾄﾞﾝﾍは少し前の僕。

言ってあげられる事があるのに逃げたかったのは、気づかない内にAを傷つけたﾄﾞﾝﾍを責めてしまっていたのかも知れない。

兄さんはきっと気づいたんだね。ﾄﾞﾝﾍにｲﾗｯとしたのにそれを声に出してやらなかった事。

苛立っても言ってやるべきだ。例えそれが文句だったとしても、ﾄﾞﾝﾍは今不安で何でも良いから聞きたいはずだもんね。

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