花魁の小太刀【刀剣乱舞】

23 死なない ページ25

(へし切長谷部side)


急に主が声を荒らげた。

石切丸殿は飛び上がらんばかりに驚いて主を見ている。


審「満に謝って！！」


初期の方からいた俺でも、主の怒っているところはあまり見たことがない。

でも…これは正真正銘怒っていらっしゃるな。


石切丸殿はゆっくりと満の方に体を向ける。

そして大きな体を小さく竦めて頭を下げた。


石「思慮を欠いてしまった。…すまなかった。」

審「俺からも謝る。これは単なる俺の不注意だ。驚かせてしまってごめん。」


満「……。」

薬「満。大将達もこう言ってるんだ。許してやってくれないか。」

満「……は…い……。」

薬「言いたいことがあるなら…」


声をかけながら薬研が手を伸ばすと、


満「…怖かった。」


満が小さく呟いた。

手を伸ばしかけた薬研が動きを止める。


こぼれ落ちるように、ぽつぽつと。

次第に叩き付けるように言葉が溢れ出す。


満「…怖かった！怖かったっ！！また私のせいで主が死んでしまうんじゃないか、って。
また私は罪を重ねるのか、って。」


薬「！！」


満「怖かったんです…。ごめんなさいっ…。」


満は胸元を握りしめて悲痛な面持ちで俯いた。


罪、と言ったか…？

一抹の疑問が過る。


審「満。」


満「…？」


審「俺さ、ひ弱そうに見えるかもしれないけど」



審「そう簡単には死なないよ。」



その疑問を振り払ったのは主の真剣な眼差しだった。

まっすぐに満を見つめている。

口許には不敵な笑みが浮かんでいた。


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へたれ審神者だってやるときはやるんです！

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