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夢を見た
いやそこは、自分の心の中だった
真っ白い世界の中央に、小さな鬼が佇んでいた
夜叉だ
夜叉は楽しそうに笑っている
《でも、どれだけ穏やかな振りをしてみても、君の本質は変わらないよ、A》
「………」
《君の中には僕が来る前から、鬼が棲んでいた。誰にも負けたくない。全てを壊す力が欲しいという強い欲望》
「………」
《普通はもう、とっくに諦めるような夢を、君はまるで子供のように叶えたがっている。誰かを傷つけたとしても、それでも手に入れたいと欲望が暴走する。きっと真昼は君のそんなところが好きなんだろう》
「………」
《僕も、そういう君が大好き。ああ、可哀想に、それでも世界はまるで自分の思うようにならない。
でも君は頑張ってその悔しさを仲間の前に出さなかった。いつも通り、へらへら笑った。楽しくみんなでゲームして、でも、その間ずっと、どうすればもっと力が手に入るか………》
「黙れ」
《真昼をどうすれば殺せるか考えて……》
「黙れって言ってるよね」
《あはは、大好きだよ、A。君が好きだ。君の鬼になれて、僕は幸せだよ。真昼にお礼を言わないとなぁ》
目が覚めた
全身、汗でびっしょりだった
居間では、布団の上にみんなが雑魚寝している
グレンだけがいないが
時計を見ると、時刻は四時半だった
……二時間ほどしか寝れてない
そして私はぼんやりと天井を見上げる
ひどく喉が渇いていた
水が飲みたい
障子を開き、外へと出る
するとそこには、グレンが立っていた
月を見上げている
その、彼の視線がこちらに移される
「……何でジロジロ見てる」
突然話しかけられて、驚く
寝起きであまり頭が働いていないのだ
「え、あ、ごめん。そんなに見てた?」
「ああ」
「いやぁ、イケメンって得だよなぁ、と思って」
「はぁ?」
グレンが顔を顰める
私はすぐに、いつもの笑みを浮かべる
グレンが私の顔を見つめ、言う
「おまえ、顔色悪いぞ。それに表情が硬い。どうかしたか?」
「別に、何もないよ。それより、水ってどこで飲める?喉渇いてるんだけど」
「……こっちだ」
そう言って彼は歩き出す
私はそれに着いて行く
深くは聞かないでくれるようだ
……それにしても、あんな夢を見ただけで動揺するなんてなぁ
私は月を見上げる
綺麗な月が出ていた
そしてその下に、ひどくちっぽけな自分がいる
くだらない欲望を、抑え込むことができない自分が
私はグレンに聞こえないよう、小さく溜息を吐いた
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もちもち - 伊鶴さん» コメントと応援ありがとうございます。これからも更新頑張ります！ (2017年2月18日 10時) (
レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
伊鶴 - このシリーズとても楽しく読ませていただいてます！！とっても面白くて大好きです！頑張って下さい！ (2017年2月16日 22時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - ルカさん» ありがとうございます。そう言ってくださり、嬉しいです。更新頑張ります！！ (2017年1月5日 9時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 遅くなってしまいました！ 続編おめでとうございます！ もちもちさんの秀才少女シリーズ大好きです。 これからもずっと応援しています！ (2017年1月5日 1時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 暁の雨さん» 今回もコメントありがとうございます！！更新頑張ります。 (2017年1月3日 12時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年1月2日 14時
