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ぼんやりと庭園を眺めていると、五士が言った

「そういやグレン。おまえを元気づけようと思って、お土産買ってきてやったぞ」

彼が持っていたビニール袋から、数冊の雑誌が取り出される
もちろん、成人向けの雑誌だ

「ちょっと五士!」

「まあまあ美十ちゃん。これはグレンのためなんだよ。男は悲しいとき、こういうの見ると元気になるんだから」

「嘘です」

「嘘じゃないって。こう、欲望に任せて、あほなことだけ考えてたら、悲しみがまぎれるっていうか……美十ちゃんもあれだろ?グレンが悲しくないほうがいいだろ?」

「や、あの、それはそうですが……そんなもので簡単に元気になるはずが……」

「男はそーなんだよ。そういう悲しい生き物なんだよー。な、グレン。そうだよな?」

「ほ、ほんとにそうなんですか?グレン、それなら私、その、今回だけはあなたがここでそういうのを見ても……その、我慢しますが」

頰を赤らめ、神妙な表情で彼女はグレンを見る
五士は嬉しそうに雑誌を掲げている
深夜はそれらをへらへら笑いながら見つめている

私も苦笑いを浮かべ、彼らの姿を眺める

それにグレンが聞いた

「五士家や十条家、朝霧家は、おまえらがここにくることを許してるのか?」

それに私たちは顔を見合わせるだけで、何も答えない
彼らも無断でここに遊びに来たらしい

真正面から親に聞いても、お許しなんて貰えないしね

私の父も、一瀬栄の処刑に賛同した
それどころか、私にあの処刑に出席までさせたのだ

本当は、ここに来てはいけなかった

だが、五士が笑って言う

「愛知旅行に来てるだけなのに、処罰されないだろ。んで、ホテル代が勿体無いから、友達ん家にちょっと泊まるんだ」

「泊まる気かよ」

「うまい飯だせよ」

「もう帰れって」

するとそこで、彼の従者たちが戻る
お茶とお茶菓子を持ってきてくれたようだ

五士が手を振る

「小百合ちゃん、時雨ちゃん、おひさ」

「あ、雪見さん、私もなにか手伝うことがあれば」

「いえ、大丈夫です。お客様はゆっくりしていてください」

そう言って、座卓にお茶を並べていく
それが終わると、二人は出ていってしまおうとする

すると五士が言う

「二人もここにいなよー」

「ですがそれは」

「みんな仲間じゃん」

それにグレンが頷き、言う

「おまえらもここにいていいぞ」

従者たちは顔を見合わせる
嬉しそうに笑って、二人並んで部屋の隅に座った

一気に周りが騒がしくなるなぁ

私はそれに、頰を緩ませた

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もちもち - 伊鶴さん» コメントと応援ありがとうございます。これからも更新頑張ります! (2017年2月18日 10時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
伊鶴 - このシリーズとても楽しく読ませていただいてます!!とっても面白くて大好きです!頑張って下さい! (2017年2月16日 22時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - ルカさん» ありがとうございます。そう言ってくださり、嬉しいです。更新頑張ります!! (2017年1月5日 9時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 遅くなってしまいました! 続編おめでとうございます! もちもちさんの秀才少女シリーズ大好きです。 これからもずっと応援しています! (2017年1月5日 1時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 暁の雨さん» 今回もコメントありがとうございます!!更新頑張ります。 (2017年1月3日 12時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2017年1月2日 14時

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