03 ページ5
ぼんやりと庭園を眺めていると、五士が言った
「そういやグレン。おまえを元気づけようと思って、お土産買ってきてやったぞ」
彼が持っていたビニール袋から、数冊の雑誌が取り出される
もちろん、成人向けの雑誌だ
「ちょっと五士!」
「まあまあ美十ちゃん。これはグレンのためなんだよ。男は悲しいとき、こういうの見ると元気になるんだから」
「嘘です」
「嘘じゃないって。こう、欲望に任せて、あほなことだけ考えてたら、悲しみがまぎれるっていうか……美十ちゃんもあれだろ?グレンが悲しくないほうがいいだろ?」
「や、あの、それはそうですが……そんなもので簡単に元気になるはずが……」
「男はそーなんだよ。そういう悲しい生き物なんだよー。な、グレン。そうだよな?」
「ほ、ほんとにそうなんですか?グレン、それなら私、その、今回だけはあなたがここでそういうのを見ても……その、我慢しますが」
頰を赤らめ、神妙な表情で彼女はグレンを見る
五士は嬉しそうに雑誌を掲げている
深夜はそれらをへらへら笑いながら見つめている
私も苦笑いを浮かべ、彼らの姿を眺める
それにグレンが聞いた
「五士家や十条家、朝霧家は、おまえらがここにくることを許してるのか?」
それに私たちは顔を見合わせるだけで、何も答えない
彼らも無断でここに遊びに来たらしい
真正面から親に聞いても、お許しなんて貰えないしね
私の父も、一瀬栄の処刑に賛同した
それどころか、私にあの処刑に出席までさせたのだ
本当は、ここに来てはいけなかった
だが、五士が笑って言う
「愛知旅行に来てるだけなのに、処罰されないだろ。んで、ホテル代が勿体無いから、友達ん家にちょっと泊まるんだ」
「泊まる気かよ」
「うまい飯だせよ」
「もう帰れって」
するとそこで、彼の従者たちが戻る
お茶とお茶菓子を持ってきてくれたようだ
五士が手を振る
「小百合ちゃん、時雨ちゃん、おひさ」
「あ、雪見さん、私もなにか手伝うことがあれば」
「いえ、大丈夫です。お客様はゆっくりしていてください」
そう言って、座卓にお茶を並べていく
それが終わると、二人は出ていってしまおうとする
すると五士が言う
「二人もここにいなよー」
「ですがそれは」
「みんな仲間じゃん」
それにグレンが頷き、言う
「おまえらもここにいていいぞ」
従者たちは顔を見合わせる
嬉しそうに笑って、二人並んで部屋の隅に座った
一気に周りが騒がしくなるなぁ
私はそれに、頰を緩ませた
341人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちもち - 伊鶴さん» コメントと応援ありがとうございます。これからも更新頑張ります! (2017年2月18日 10時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
伊鶴 - このシリーズとても楽しく読ませていただいてます!!とっても面白くて大好きです!頑張って下さい! (2017年2月16日 22時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - ルカさん» ありがとうございます。そう言ってくださり、嬉しいです。更新頑張ります!! (2017年1月5日 9時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 遅くなってしまいました! 続編おめでとうございます! もちもちさんの秀才少女シリーズ大好きです。 これからもずっと応援しています! (2017年1月5日 1時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 暁の雨さん» 今回もコメントありがとうございます!!更新頑張ります。 (2017年1月3日 12時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もちもち | 作成日時:2017年1月2日 14時