エピローグ ページ29
「どこに向かったらいいですかね?」
五士が助手席に座った深夜に聞く
だが彼は答えられず、こちらを見る
「って、五士が聞いてるけど、どうするよ。どうやったら世界が救えるかな」
そんなこと、わかるはずもない
だが、このまま放っておけば世界が変わる
ならいったい、どうしたらいいのか
グレンは後ろのシートに座っている従者たちに、シノアちゃんを任せ、携帯のアドレス帳をいじり始める
真昼に連絡する気だろう
それは正しいのか、正しくないのか
それさえもわからない
車が赤信号で止まる
そこで突然、グレンがこんなことを言った
「……今年のクリスマスは、ケーキが喰いたいな」
それに、仲間たちが一斉にグレンを見た
彼の言葉に、私たちは言う
「チョコケーキを食べてみたいな」
「ショートケーキに決まってます。イチゴがたくさんのってるやつ」
「あ、あ、わたくし、両方作りますね!」
「で、プレゼントでも交換するわけ?」
「いいですねー」
そして最後に、雪見さんが言う
「あ、あの……もしもそれが、人生最後のケーキということなら、マロンケーキがいいのですが……」
なんて珍しく主張してきて、みんなで笑った
だが、そんな話は夢のまた夢だ
グレンが言う
「聞いてくれ。俺はこれから、真昼に連絡をとって、協力を申し出る。恐らくその会話は『帝ノ鬼』に盗聴されている。だからもしも世界の滅亡を止められたとしても、裏切ったことを咎められて、処刑になると思う。もしそれが嫌な奴は、ここで降りて……」
するとそれを遮って、深夜が言った
「はいはい。じゃあもうやりなよ」
続いて五士と美十も言う
「滅亡したら結局みんな処刑と一緒だしな」
「私は、グレンを信じます。だって、大切な仲間ですから」
花依さんと雪見さんは、なにも言わない
彼に着いて行くのは当たり前だという顔をしていた
グレンは、不安げにこちらを見る
私が何も言わなかったからだろう
だから、ちゃんと答えた
「最後まで、付き合ってあげるよ」
そしてそれに、グレンは笑って、
「……ああ。まあ、無事にクリスマスを終えたら、ケーキを喰いながら、ゲームでもやろう。で、そうなるためにちょっと頑張るぞ。真昼にかける」
彼はそう言って、通話ボタンを押した
そしてまた、音がした
カチリカチリと音がした
絶望の音
滅亡の足音
世界が終わるまで、あと二日
これはその、人類滅亡に抗する、人間の物語
最後の最後まで必死にあがいた、人間たちの物語
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もちもち - 伊鶴さん» コメントと応援ありがとうございます。これからも更新頑張ります！ (2017年2月18日 10時) (
レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
伊鶴 - このシリーズとても楽しく読ませていただいてます！！とっても面白くて大好きです！頑張って下さい！ (2017年2月16日 22時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - ルカさん» ありがとうございます。そう言ってくださり、嬉しいです。更新頑張ります！！ (2017年1月5日 9時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 遅くなってしまいました！ 続編おめでとうございます！ もちもちさんの秀才少女シリーズ大好きです。 これからもずっと応援しています！ (2017年1月5日 1時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 暁の雨さん» 今回もコメントありがとうございます！！更新頑張ります。 (2017年1月3日 12時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年1月2日 14時
