孤児院の日記 ページ25
十二月二十三日
私はなんとなく思い立って、《百夜教》が運営していた孤児院へと向かった
孤児院とは名ばかりで、《百夜教》の実験施設だ
あそこでも、《終わりのセラフ》の研究が行われているはずだった
孤児院には、誰もいなかった
あの子供たちも、おそらく、あの子供たちも、皆殺しにされた
《終わりのセラフ》に関わった者は、すべて吸血鬼に殺されたはずだ
無人の建物の中に、入る
そこにはまだ、子供たちの生活していた痕跡が残っていた
黒板に奇妙な犬の絵
壁に張り出された標語
敷かれたままの布団
いくつかの個室には、そこで生活している子供の名前が書き込まれていた
飯田茜
灰山淳士
遠藤勇気
その中から、
進藤ミカエラ
の名前を見つける
前にグレンが話していた子供だ
「………」
部屋に入る
二人部屋だった
二段ベットに、机が二つある
机の上には、ノートが広げられたままになっていた
日記のようだ
それに書かれた最後の日付は、十二月八日だった
……吸血鬼からの襲撃の四日前だ
少し嫌な予感がして、その日記の内容を読む
そこには綺麗な文字で、こんなことが書かれていた
今日は茜が転んで怪我をした
いつも明るくて、強い茜が、今日は転んだだけでたくさん泣いていた
きっと、寂しいんだと思う
もちろん僕も寂しい
今日でこの孤児院とはお別れだけど、ここのみんなで引っ越せるのは嬉しい
新しい場所でもみんな一緒なんだから、あんなに泣かなくてもいいのに
でもやっぱり、ここから離れるのは僕も寂しい
次に行く場所が、いいところだといいけれど＿＿＿＿
そんなことが、書かれていた
それはどうということのない日記だった
孤児院の子供たちは、別の場所へと引っ越したのだ
ただ、それだけのこと
「……吸血鬼襲撃の四日前。これは偶然?」
私は呻くように呟いた
もし奴らが吸血鬼襲撃のことを知っていたとすれば、まずいことになる
もしもまだ、どこかで子供たちが生きているのなら、それは《終わりのセラフ》計画が続いているということになる
暗い孤児院の中、自分の鼓動が速くなるのを感じた
私はすぐさま、この孤児院から飛び出した
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もちもち - 伊鶴さん» コメントと応援ありがとうございます。これからも更新頑張ります！ (2017年2月18日 10時) (
レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
伊鶴 - このシリーズとても楽しく読ませていただいてます！！とっても面白くて大好きです！頑張って下さい！ (2017年2月16日 22時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - ルカさん» ありがとうございます。そう言ってくださり、嬉しいです。更新頑張ります！！ (2017年1月5日 9時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 遅くなってしまいました！ 続編おめでとうございます！ もちもちさんの秀才少女シリーズ大好きです。 これからもずっと応援しています！ (2017年1月5日 1時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 暁の雨さん» 今回もコメントありがとうございます！！更新頑張ります。 (2017年1月3日 12時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年1月2日 14時
