共有化 ページ13
片付けがひと段落つくと、玄関から声が聞こえた
「お姉ちゃん、生きてる⁉」
間違いなく弟の声だ
玄関が破壊されているのを見たのだろう
酷く慌てた様子でこちらに向かってくる
「何があったの?」
瑞樹が聞いてくる
何を共有化して、何を共有化すべきじゃないかを考える
それはすぐに答えがわかった
答えは、ほとんど共有化する、だ
そうしなければもう、真昼には追いつけない
「襲撃を受けたんだよ」
「誰から?」
「斉藤って言う男」
「何者なの?」
「《百夜教》の暗殺者だった男」
それに瑞樹が首を傾げる
少ししてから、私に別の質問を投げかける
「《百夜教》とは、同盟を組んだはずだけど」
「斉藤は真昼と組んでる。《百夜教》のことも裏切っている」
「そうだろうね。《百夜教》は今、『帝ノ鬼』とは揉めたくないはずだしね。で、殺した?」
私は横に首を振った
「じゃあ逃したの?」
そんなレベルではなかった
何せ、その動き自体を目で追えないのだ
「正体は吸血鬼だった。今の《鬼呪》だけじゃ太刀打ちできなかった。コテンパンにされたよ」
「彼は何の利害があって真昼と組む?」
「さあ」
「何でお姉ちゃんのところに来たの?」
「それもわからない」
私は肩を竦め、答えた
彼らの考えることは、何一つわかっていない
常人には理解できそうもない
弟が困ったように笑う
「んー、お姉ちゃんも面倒な女に目を付けられたね」
「あはは、本当にね」
面倒どころではない
毎回彼女に振り回されるこちらの気持ちも考えてほしい
「で、どう対処したの?」
「特に何も。仲間を殺して一緒に来いと言われて……断ったら滅茶苦茶に暴れられた」
「お姉ちゃんの容体は?」
「《鬼呪》のおかげで、もう治ってる」
それに弟は安心したように微笑む
だが、すぐに冷静な表情を浮かべる
「斉藤、斉藤か。僕も少し調べてみるよ」
「助かるよ。何としてでも、真昼の前に出る必要があるから」
そのためには、『帝ノ鬼』や《百夜教》の力も利用する必要がある
協力もしなければならない
それでも真昼に追いつけるかわからない
だが、何もやらなければ状況が変わることもないのだ
そこで、瑞樹が聞く
「……何でお姉ちゃんは、そこまで柊真昼を見つけようとするの?」
私はその弟の問いかけに、笑う
「それ、言う必要ある?」
すると弟は少し不満そうな表情を浮かべた
それから、
「答えたくないなら、いいよ」
と言って彼は自室へと戻って行った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 341人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちもち - 伊鶴さん» コメントと応援ありがとうございます。これからも更新頑張ります！ (2017年2月18日 10時) (
レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
伊鶴 - このシリーズとても楽しく読ませていただいてます！！とっても面白くて大好きです！頑張って下さい！ (2017年2月16日 22時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - ルカさん» ありがとうございます。そう言ってくださり、嬉しいです。更新頑張ります！！ (2017年1月5日 9時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 遅くなってしまいました！ 続編おめでとうございます！ もちもちさんの秀才少女シリーズ大好きです。 これからもずっと応援しています！ (2017年1月5日 1時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 暁の雨さん» 今回もコメントありがとうございます！！更新頑張ります。 (2017年1月3日 12時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちもち | 作成日時：2017年1月2日 14時
