幽霊族の彼に一目惚れしたおはなし

お迎え ページ10

-さくらside-

『おっも！張り切って買いすぎたなぁ……野菜以外にも色々買っちゃった……』


バイト帰り、パンパンに詰まったスーパーの袋を両手に持ち暗い夜道を歩いていた

手袋をしていなかったため手が冷たくてなんなら痛い
早く帰りたい


カラン……


『ん？』

何となく周りの空気感が変わりカランという下駄の音が聞こえた

『ゲゲ郎さん……？』


後ろを見てもそれらしき影は見えない

気のせいだろうか？？


『んー？……うわっ！！』


まぁいいかと視界を前に戻すとゲゲ郎さんが目の前に立っていた


｢お主、随分と怖がりじゃなぁ｣

『げ、ゲゲ郎さん、やめてくださいよ……心臓に悪いです！』
｢わしはお主の前に立っていただけじゃよ｣

いやいや、ホラー映画みたいな登場をしといて何を言う


『というか、なんで居るんですか？またお散歩ですか？？』

｢迎えに来たんじゃよお主は面倒事に巻き込まれやすいからのぅ｣

まさか

『もしかして……心配してくれたんですか？？』

｢……自惚れるでない鬼太郎が腹を空かせておるからな遅くなったら可哀想じゃろ｣

『そこは嘘でも心配したって言ってくれてもいいじゃないですかー』

｢わしは嘘はつかん｣


冷たいなぁ、そういうとこも好きだけど


｢ほれ｣
『はい？』
｢その荷物をよこせ、手が真っ赤じゃぞ｣
『え、あ、ありがとうございます』

そう言うと私の手から荷物を取った

こういうところだよなぁ


『あ、もうひとつは大丈夫です』
｢わしは人間みたいにか弱くない、ほれもうひとつもよこせ｣
『そうじゃなくて、ほらこうすれば暖かいじゃないですか』


私はゲゲ郎さんの空いた手を取りぎゅっと握った

(振りほどかれるかな……)


｢はぁ、｣

どうなるかななんて思っていたらゲゲ郎さんからため息がでた

……この１ヶ月で少しくらい仲が深まったんじゃないかと思っていたが私の思いすごしだったみたいだ

(迎えに来てもらって、調子に乗っちゃった……)


『ごめんなさい、冗談です笑』


自分でしたことなのに勝手にショックを受けて何がしたいんだ私は

少し涙目になった顔を見られないように顔を伏せて手を離した

『……え？』

手を離し冷たい外気に触れたかと思えばまた少しの温もりに包まれた


『さむいんじゃろ？人間は弱いからの、風邪でもひかれたら厄介じゃ』

｢……ありがとうございます…………｣


引っ込んだ涙の代わりに今度はまっかになった顔を隠し手を握り返した


To Be Continued-……

変化→←半共同生活

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す