幽霊族の彼に一目惚れしたおはなし

行けない ページ17

-さくらside-

『お邪魔しました……』

今この状態でここにはいられない、そう思い玄関の扉に手をかけようとした

『あ……鬼太郎くん』


そう、私がここで帰ったら唯一この家にいる大人は今爆睡しているあの二人

しかも2人とも今日は泥酔状態だった、ちょっとやそっとじゃ起きない可能性がある


『だめだ、行けない』


感情のまま動いて後先を考えられなくなるのは私の悪い癖だ
人間の子より丈夫なんて言っていたが子供は子供、1人残しておけるわけがない


ゆっくりと茶の間の廊下を歩き鬼太郎くんが寝ている部屋に向かう


『……あれ、鬼太郎くん起きてたの？』
鬼「んむぅ〜……」


どうやら今ちょうど目が覚めただけみたいだ
まだ眠そうに欠伸をしている

『ごめんね、もしかしてだけど起こしちゃったかな？一緒にもう一回寝よっか』

私は鬼太郎くんの横に寝そべりポンポンと一定のリズムでお腹を叩く


『鬼太郎くん……私どうすればいいかな…私わかんなくなっちゃった』

こんな事を鬼太郎くんに相談したところでどうにもならないのは分かっている、けど誰かに話さなければどうにかなりそうだった


鬼「あぅ……？」

そう思っているといつの間にかまた涙が溢れていた


『あ、ごめんごめんね……大丈夫だから_鬼「……」』

頑張って涙を拭っていると私の頬に小さな手が触れた
鬼太郎くんはじーっと私を見つめふにゃりと笑った


まるで「泣かないで、大丈夫」と言われているようだった


『ありがとう、鬼太郎くんは優しいね…』

私は小さな手を握り眠りに落ちた


To Be Continued-…

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