幽霊族の彼に一目惚れしたおはなし

本音 ページ14

-さくらside-

聞こえてしまった

いや聞いてしまったという方が正しいのか


ゲゲ郎さんが私のことを気になり始めてくれていることが
凄く嬉しかった、ただただ嬉しかった


いつもなら『本当ですか？！私も好きです〜！！』なんて抱きつきたかった

だがその後に聞こえてきた言葉に私に頭を殴られたような衝撃が走った


"岩子さんのことだろ？"


岩子さん……直ぐに分かったゲゲ郎さんの奥さんだと

今まで聞かなかった否聞きたくなかったが鬼太郎くんがいる時点で自動的に奥さんがいるにきまっている

でも、水木さんと2人で子育てをしている所をみると奥さんは亡くなってしまったのか離婚してしまったのかどちらかと思っていたが

やはり亡くなっていたらしい

なんとなくは分かっていた１ヶ月しか彼とは過ごしていないが、分かるのだ彼はきっと大切な人はきっと生涯をかけて愛すような一途な人だと


『奥さん、めちゃめちゃ愛されてるじゃん……』


亡くなっても尚愛されている奥さんが羨ましい、ずるいと思ってしまう


ゲゲ郎さんと水木さんの会話を聞くほど私はゲゲ郎さんを苦しめているという事実を突きつけられ胸が締め付けられる


私は……私のこの気持ちはゲゲ郎さんを苦しめる原因でしかない

気づけなかった、自分の気持ちばかり優先して馬鹿みたいだ


『諦めるしかないの……？嫌だ、嫌だよ……でも』

考えれば考えるほど思考が絡まってまとまらない


『とにかく今はいつも通りに』


この会話を聞いた事を彼らに絶対に悟られてはいけない

もしバレてしまえばこの関係を続けられ無くなる
彼を苦しめていると分かりながら、離れたくないと思う私は酷い女だろうか


｢そしてもう1つ理由があるんじゃ｣
水｢なんなんだそのもう1つってのは？｣


もう一つの理由……ダメだ嫌な予感しかない

これ以上聞いてしまえば堪えている涙が一気溢れてしまう


『お待たせしました〜！！』


その会話の先を遮るようにいつもの笑顔を作りみんなの前に姿を出す

大丈夫、上手く笑えてる

いつものように振舞っていると口を尖らせ袋を置いていったな、なんて言ってくる彼


あぁ好きだなぁ……

彼の言葉、行動一つ一つが愛しくてたまらない


離れられない諦められない

許してください

この想いが実を結ぶ事がないとあなたを苦しめていると分かった上であなたのそばにいることを


To Be Continued-……

酒→←葛藤

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す