【Fischer's】ウミの記憶

4Marin ページ8

-silk side-





今日1日の事を、動画のネタにしていいのなら


俺は真っ先にカメラに向かって『なんて日だ!!』と叫ぶだろう。



それくらい、馬鹿げた話なんだから。





女と言うべきなのか、少女と言うべきなのか、それとも女の子か、


それすらも分からない初対面の子に、



今からお前はAだの、貰うだの、無責任な言葉を投げつけて。




奇跡的に俺が住むマンションの大家さんに頼んだら、1部屋空きがあるって言われて貸してもらえたけど。



記憶喪失だぞ。

何で病院に送り込まれたのか、自分が誰なのか、帰る場所は何処なのか、そんなの全部忘れちまったんだぜ?




そう簡単に、どうこうできる相手じゃない。



我ながら、あと先考えずに良くもやってくれたなって感じだわ。








けど、だけど、Aを施設に行かせるつもりは全くもって無い。





それは多分、俺以外の6人だってそうだろう。






少し戸惑ってたモトキだって、
状況についていけなくて黙り込んでたザカオだって、
Aを見て泣きそうになるのを必死に堪えてたンダホだって、
色々と考え込んでいたぺけたんだって、
何かAの為に出来る事は無いかって思ってたダーマだって、






皆、今Aを離すつもりはないだろう。





特に、マサイは余計。






俺と一緒で無責任な言葉を投げつけた奴だ。



"記憶が戻るまで"なんて事を思ってるかもしれない。






それに、多分アイツは_________。




｢ﾊｯ......。｣







時計みたらもう3時だ。




俺はすぐに、目を閉じた。

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