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失態に失態を重ね・・・ ページ15

「ただいま帰りました・・・」

私は玄関のドアを開けた。いつものように、お手伝

いさんが出迎える。

「お帰りなさいませ、茜様。」

今日は若いお手伝いさん。歳は二十代ぐらい。

「食事は要りません。疲れたのでもう休みます。」

「あ、あの。天馬様はお仕事で、何日か家に帰らな

いそうです。」

お手伝いさんは慌てながら言う。私は軽く頷くと、

自分の部屋に戻った。

「バコーンッ!!」

部屋の真ん中に置かれた机を私は蹴る。

上層部からは注意をされただけで、何事もなく帰る

ことができた。けれど、私が受けた批判は私だけを

責めるものばかり・・・そして、私の脳裏に浮かぶ

のは、天馬と梓さんの顔ばかり。

「もう嫌だ・・・」

私は一人呟いた。



私のミスは瞬く間に広まった。私が道を歩けば、周

りにいた人達は私を見る。なんせ最高峰の家系であ

る鸕宮家の傘下が、失態を起こしたのだから。私は

それでも、鸕宮家にこれ以上恥をかかさないよう

堂々としていた。内心は泣きたいぐらいだが。

「おい、アンタ」

誰かが肩を掴んだ。私が振り返ると、そこにはミッ

ションに参加していた陰陽師達だ。全員私よりも年

上の方々だ。

「なんですか?」

「今回のミッションで、俺達に指示を出したのはア

ンタだ。だがそのせいで、俺は足を失いかけた。

なのにアンタは責任者でありながら、責任を負わ

れず、のうのうと生きてやがる。それが許せねぇ

んだよ!!」

集団の中でリーダー格のような男は、私の襟首を掴

み上げた。

「ウゥ・・・」

「鸕宮家の傘下だから安心してたのに、なんでお前

みたいのが鸕宮家の傘下なんだ!!」

どうやらこの人達は頭に血が上っている。

「今ここで責任を負え。嫌だと言うなら・・・」

後ろにいた人達がいっせいに剣や札を構えた。人目

がない事をいい事に、私を襲う気でいるのだろう。

「今ここで言え。全ての責任を負って、陰陽師を辞

めるとな。」

何も知らず、ただ怖い思いをして、気が狂ってしま

う人は何人も見た。彼らもその中の一人だろう。

でもここで、陰陽師を辞めるわけにはいかない。

天馬を守ると私は誓ったのだから。私が何も答えな

いでいると、周りの者達は私に刃を向けた。抵抗す

ればいいと誰もが思うだろう。しかし、抵抗はしな

い。これ以上鸕宮家に迷惑をかけないためだ。

私ゆっくり目を閉じる。この時に浮かぶのは、やは

り天馬と梓さんの姿だった・・・

責任を負う怖さ→←私はただの・・・



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レモン - このお話はもう、終わってしまったんですか?楽しみにしてたので残念です。 (2018年2月4日 16時) (レス) id: 5aac9fd1e3 (このIDを非表示/違反報告)
猫ポン - 夜世井さん» コメントありがとうございます! (2017年5月29日 19時) (レス) id: 1ddc5b18ff (このIDを非表示/違反報告)
夜世井 - アイツて誰?!更新楽しみにしてますね! (2017年5月28日 13時) (レス) id: 7ab112d914 (このIDを非表示/違反報告)
猫ポン - 美姫♪さんりんりんさんもありがとうございます! (2017年5月16日 20時) (レス) id: 1ddc5b18ff (このIDを非表示/違反報告)
猫ポン - つーちゃんさん» いえいえ、いつもありがとうございます! (2017年5月16日 20時) (レス) id: 1ddc5b18ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫ポン | 作成日時:2017年5月5日 16時

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