【進撃の巨人】自由と信念_Ⅱ【ツイステッドワンダーランド】 (ページ18)

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#47 ページ18

三十分に一本。
告げられた時間は想定よりもずっと短い。
木に登ってこようとする巨人の眼球を踏み、伸ばしてきた腕を斬ってから項を削ぐ。
此方の世界に来て何らかの形で影響は受けているのだろう。
巨人の項は、前よりもずっと柔らかい。
群がってくる巨人たち。
自分に一番近いところにいる巨人の胴にアンカーを刺し、その巨人の項を切り裂きながら次々に巨人を倒していく。
アンカーは馬鹿になっていないし、ブレードの消耗も激しくない。
獣の背後を守るようにして並ぶ巨人たち。
自分を見つけた瞬間、一斉に走ってくる。
その中でも一際速く、異様な形相をしているものと目が合った。

｢奇行種かよッ!!｣

アンカーを木に突き刺し、地面を滑るようにして飛ぶ。
長い腕を無作為に振り回す様子はさながら赤子のようだった。
兎に角動きが速いし、その上規則性がない。
此奴を仕留めねば。
ぐん、と腰を引っ張られた。
まずい、ワイヤーを＿＿
目の前に迫る口。反射的に腕の雷槍を喉奥に突き刺していた。
轟音を上げて吹き飛ぶ頭部。
爆風に煽られたがなんとか受身をとって地面に転がった。
アンカーもひしゃげていないしワイヤーも正常に巻き取れる。
ワイヤーを掴まれたと気づいた瞬間、すぐさま自分でワイヤーをしまっていたのだ。

｢危ねェな｣

なくなった頭を探すように彷徨う其奴の項を削ぎ落とし、ゆっくりと集まりつつある巨人たちを見つめる。
思い出せ。
思い出せ、あの日の死闘を。
団長が死んだ、あの日を。
ふつふつと腹の底から湧き上がる熱は、紛れもなく怒りと闘志だった。
此処は平原だ。木が多くない。
だが、的は多い。
膨らんだ腹にアンカーを突き刺せば血が噴き出す。
無表情だったその顔を苦悶に歪め、暴れだしたそれを傍目に手前の二体を倒した。

｢ウガァァァァ!!｣
｢っせェな｣

膨らんだ腹。アンカーの刺さったそこを押さえる仕草はあまりにも＿＿

｢馬鹿か｣

目にブレードを押し当て、背後に回って項を斬り落とした。
あと二体。
獣がこれ以上巨人を呼ばなければ、の話だが。
考えろ。限界まで思考を働かせろ。
雷槍は残り一本。どれくらいの時間が経過したかは分からないから追加がいつ来るかは分からない。
目の前の二体は図体がデカい分、動きがトロい。
ならば。
額にアンカーを突き刺し、伸びてきた腕を斬り落としながら眼球にブレードを横向きにして押し当てる。
隣に突っ立っている巨体にアンカーを刺しながら二体分の血を浴びた。

｢……やっとだな｣