【進撃の巨人】自由と信念_Ⅱ【ツイステッドワンダーランド】 (ページ14)

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｢わ゛た゛し゛た゛っ゛て゛し゛ん゛は゛い゛な゛の゛に゛～!!!!｣
｢わかったわかった｣

緊急会議が終わり、彼を含めた生徒たちは部屋を出て行った。
その際に浴びせられる寮長たちからの非難がましい視線。
平気な顔をしてクロウリーは耐えたが、全然平気じゃなかった。
勿論あの行動を後悔なんてしていない。
自分一人が悪者になって彼を救えるなら、と。
しかしその彼は完全に自分を敵対視しているし、そもそもこの世界の人間を全員信用していない。
大人たちは頭を抱えていた。
恐らくもうこれで彼が積極的に自分たちと関わる可能性は殆どゼロになったし、此方も変に構えば寮長たち＿＿主にキングスカラーあたり＿＿が黙っていないだろう。
八方塞がり。完全に詰んでいた。
という訳で酒盛り、またの名を自棄酒である。
学園長室から秘蔵の酒をクロウリーは持ってきてグイグイ飲んでいた。
周りもそれに釣られるようにハイペースで瓶を空けている。

『じゃあ俺にモルモットとして死んで欲しいってのか？』
｢……そんなわけ、ないだろう。｣

杯に注がれた透明な液体。
水面に映る自分は随分と辛気臭い顔をしていた。
大きく息を吐き出し、一息に飲み干してしまえばバルガスが何やら泣きながら肩を組んでくる。
頼むから此奴の絡み癖をどうにかして欲しい。適当にあしらいながら引き剥がし、近くにいたサムに押し付けた。
＿＿そんなわけない。
もう止まらない血を見るのも、噎せ返るような鉄の匂いを嗅ぐのも、消えていく生の気配を感じるのも嫌なのだ。
この世界で普通に生きていればあんな目に遭うことは無い。
普通に生きて、普通に学生としての生活を楽しみ、普通に良い友人を作り、普通に愛する人と出会い。
そして普通に、それでいて幸せな人生を過ごす。
それの何がいけないのだろう。
彼は何が気に食わないのだろう。
きっとこの世界の住人には分からない。
彼がどんな人生を歩んでいたのかも、彼がどれ程仲間を大切にしてきたのかも、彼が命を賭すその覚悟も。
分かる筈がない。

｢浮かない顔だね、デイヴィス｣
｢……サムか。｣

どうやらバルガスは他の人に押し付けてきたらしい。
隣に座ってきたサムにちら、と視線をやってから手酌で酒を注ぐ。
ロクに味わっていない。ただ、喉が熱くなる感覚だけは鮮明だった。

｢デイヴィスが彼処まであの小鬼チャンを気にかけるなんて｣
｢……教え子だからな、当然だ。｣

教え子の幸せを願わない教師なんて教師じゃない。