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｢……流石に最初は剣崎の子飼いが優勢、か。｣
元は仲間だった奴らは雷門イレブンの動きを熟知している。
それによって雷門イレブンは苦戦を強いられている様子だった。
対エイリア学園に向けて練習を積んできたのは、最後まで残った連中だけじゃない。
憎悪を、悔しさを募らせた目は嫌という程見てきた。
お前に何がわかる？
才を持ち、挫折を知らぬお前に何が分かる？
その才だって磨かなければ腐るばかりだ。
辛酸を舐めるような思いを何度したことか。
悔しくて涙を流した夜が何度あったことか。
挫折を知らないわけが無い。
何度も何度も折られ、それでも尚立ち上がった。
全ては己が皇を存続させる為だけに。
厚い皮に覆われた硬い掌を握り締める。
この手は本望を掴み取った。
しかし、その為にどれだけ沢山のものを零したのだろうか。
｢……皮肉な話だ｣
こんな所まで似るとは。
禍々しい紫色の光に目を細め、ネットに突き刺さったボールに鼻を鳴らす。
借り物の力には限界があることを知らないのか。
守護神たる円堂守のゴールを破った興奮からか、シュートを放った風丸の横顔は酷く楽しげに歪んでいた。
｢何処までもくだらん。見る価値すらなかったか。｣
車を出せ、と言った男に慌てた様子でエンジンがかけられる。
それでも尚何も言わない彼の様子に、男もまた何も言わない。
長い長い道のり。
ただ僅かなエンジンの音だけが響く。
｢……風向きが変わったな。｣
重たい雲の隙間から差し込んだ光明。
眩く、目を刺さんばかりの輝きに目を細めた。
もうじき雲は消え、青空が姿を現すのだろう。
きっと奴らは負け、少年たちの絆は再び結び直される。
剣崎にとって最悪の結末が訪れることをこの空は物語っていた。
忠告というのは素直に聞くべきものだ。
試合が始まったその時点で、剣崎の負けは決まっていた。
サッカーというフィールドで、円堂守に敵う者などいない。
彼を監視しながら気づいたことだった。
仲間、絆、諦めない心。
これだけで円堂守はどれだけ強大な敵であろうとも屈さずに戦い、そして勝ってきた。
｢敵を知らねば勝つどころか勝負にすらならんだろうよ。｣
眩しいその在り方に、影を落とすなという方が無理な話だ。
太陽があれば、光があれば必ず影が落ちる。
＿＿この衝突は必然で必要だった。
恐らくそれは美談として語り継がれるが、当人たちにとっては一生枷となり続ける。
｢……虹か。｣
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湯葉(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!! (2020年10月5日 6時) (
レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 原作ではないお話も入っているのでいつもハラハラドキドキしながら読んでます！この先でもし、世界戦に主人公が選手として出場するなら味方として出ても、決勝戦で敵として立ちはだかってもどちらの展開でも面白そうですね！これからも応援してます！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
湯葉(プロフ) - 常備薬さん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
常備薬(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！やっぱり面白いです！ (2020年9月25日 22時) (レス) id: 074c2be95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年9月21日 12時
