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｢うわっ｣
窓の外から聞こえてきた声。
紙上の文字から目を離し、椅子から腰を持ち上げる。
軋んだ音に顔を顰めながら窓を開ければ、予想だにしない光景が広がっていた。
楽しそうにボールを追いかける白竜と、その白竜のすぐ傍を走る見覚えのある影。
特徴的な髪型と、鋭いオリーブ色の瞳に目を見開いた。
白竜の足元からボールを奪った少年がそのまま放ったボールは、真っ直ぐにゴール代わりの生垣に突っ込んでいく。
｢すげえ!!｣
｢よしガキ、彼奴呼んでこい｣
目をキラキラと輝かせる白竜に少年は上機嫌にそう命じたが、その瞬間に白竜の顔が歪んだ。
首を左右に振った白竜。笑ったままこめかみを引き攣らせた少年が白竜の頭を掴む。
慌てて窓枠から身を乗り出し、二人がいる庭に降りた。
高雅さん、と目を見開く白竜を引っ張り背後に隠すように庇えば、鮮烈な光を放つ細められた瞳に射竦められる。
｢随分な態度じゃねェか、”支配者”サン？｣
｢君には言われたくないな｣
顔を覗かせてきた白竜の頭をポンポンと軽く叩き、膝を折り曲げて彼の近くにあったボールを持ち上げた。
｢また上手くなってたね、凄いよ白竜は。｣
｢……でも負けた｣
ぶすっと拗ねたように目を逸らす白竜。
微笑んでそんな白竜と目を合わせるようにして屈み、ボールを足元に置いてやる。
｢そしたら勝てるくらい強くなればいい。｣
白竜なら出来るよ、と告げた自分の声は酷く生温かった。
それでも白竜はにっこりと無邪気に笑い、また練習を再開する。
その様子をちら、と見てから少年＿＿不動明王に視線を移した。
｢どうやって此処に？｣
｢この家は客人に茶も出さねェのか？｣
にまり、と裏しかない笑顔。
溜息を吐いてから着いてきて、とだけ言って裏の入口の方へと歩き出す。
意外にも歩いている途中の不動は特に何も言ってこなかった。
窓とは違い、立て付けのいい扉を開けて不動を先に通してから後ろ手に扉を閉める。
｢……なに、アンタ親から嫌われてんの｣
｢どうだろう｣
そもそもあの男に好き嫌いなんてあるのだろうか。
部屋に一つしかない椅子に不動を座らせ、内線で柳を呼ぶ。
『坊ちゃんどうかなさいましたか？』
｢ごめん、急なんだけど部屋にお茶とお菓子持ってきてもらえる？｣
かしこまりました、と恭しく告げた柳に礼を言って受話器を置く。
直ぐにくる、と言えば興味なさげに頷いた不動がぽつりと零した。
｢アンタ、随分あのガキには甘い顔見せんだな｣
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湯葉(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!! (2020年10月5日 6時) (
レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 原作ではないお話も入っているのでいつもハラハラドキドキしながら読んでます！この先でもし、世界戦に主人公が選手として出場するなら味方として出ても、決勝戦で敵として立ちはだかってもどちらの展開でも面白そうですね！これからも応援してます！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
湯葉(プロフ) - 常備薬さん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
常備薬(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！やっぱり面白いです！ (2020年9月25日 22時) (レス) id: 074c2be95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年9月21日 12時
