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告げられた言葉に絶句する。
人形。彼は自らをそう言った。
『父さんにとって意味のある人間である為に、僕は母さんがいないと何も出来ない子供でいる必要があった。』
彼のその言葉で、今まで彼女がとってきた不可解の行動の説明がつくのが分かる。
最悪の仮定は、最適の説明となってしまった。
お待ちください、と叫ぶ柳。
その顔はあまりにも悲痛だった。
｢では……では何故涼子は旦那様を敵だと思わせるような行動を!?｣
『簡単だよ。
彼の世話を焼く柳は、彼女よりもずっと従順で扱いやすかった。
だからこそ、男を敵のように柳に言って計画を実行させたかったのだろう。
しかしそんな分かりやすい思惑が見抜けぬ筈もない。
男は涼子を彼から引き離し、代わりに彼の傍には柳を置いた。
そんな、とがっくりと膝を着いた柳。
その様子を見もせずに彼女は天井にブツブツと小声で何かを囁き続けている。
『……もう一度聞こうかな。
母さん、爺や。僕の祖父＿＿皇大雅について何か知らない？』
二人とも何も言わない。
ただ、柳は張り詰めたような表情で唇を噛み締めていた。
微かな躊躇い。
眉根を寄せる豪炎寺の手に、そっとマシロの手が触れる。
暖かくて、柔らかな幼子の手にハッとした。
そうだ。マシロはもう、”選んだ”んだ。
＿＿俺が立ち止まってどうする。
｢柳、さん。｣
｢……修也坊ちゃん｣
豪炎寺が動くとは思っていなかったらしい。
驚いたように柳は顔を上げ、豪炎寺と目を合わせた。
｢……兄さんは、家での話なんて殆どしてくれませんでした。
お父さんのことも、お母さんのことも。
＿＿でも、柳さんのことだけは少しだけ話してくれたんです。｣
この意味がわかりますか、と聞く声は震えていなかっただろうか。
話を聞いてはくれたが、話を自らしてくれることなんてなかった彼。
それでもごく稀に、柳の話をしてくれることがあった。
作ってくれたケーキが美味しかった、淹れてくれた紅茶が苦かった、クッキーに砂糖を入れ忘れた……。
嬉しかった話から面白かった話まで、彼は柳の話をする時はほんの少し、安らかな表情になっていた。
｢高雅様……｣
『……僕は、柳がそばにいてくれて良かったと思ってるよ。』
そんな彼の一言に、柳の皺が寄った目元から雫が滴り落ちた。
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湯葉(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!! (2020年10月5日 6時) (
レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 原作ではないお話も入っているのでいつもハラハラドキドキしながら読んでます！この先でもし、世界戦に主人公が選手として出場するなら味方として出ても、決勝戦で敵として立ちはだかってもどちらの展開でも面白そうですね！これからも応援してます！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
湯葉(プロフ) - 常備薬さん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
常備薬(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！やっぱり面白いです！ (2020年9月25日 22時) (レス) id: 074c2be95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年9月21日 12時
