#��_25 ページ27
違和感。
先日円堂が言っていた言葉が頭から離れない。
ごろり、と寝返りを打つ。
一向に眠気が来ないものだから、諦めて布団から出た。
物音を立てないように部屋を出る。
上履きを脱ぎ、靴箱に入れておいたスニーカーに足を通してグラウンドに降りた。
星が煌めく空。
それでも、あの日までいた彼処で瞬いていた星とは比べ物にならないほど光が弱く、数が少ない。
｢なにしてんだ｣
｢……不動、くん？｣
後ろから聞こえてきたぶっきらぼうな声。
ハッと振り向けば不機嫌そうに頭の後ろで手を組み、不動が歩いてきていた。
ねみ、と呟いて欠伸を零す。
どうやら自分が部屋から出た物音に気づいてしまったらしい。
｢ごめん、うるさかったよね｣
｢逆だよ｣
静か過ぎて気味悪かった、と率直な言葉。
恐らくそれでも気づいて起きてしまうような環境に、目の前の少年はいたらしい。
オリーブ色の鋭い眼差し。
光なんて一切通していないような、そんな目は恐ろしいけどどこか安心してしまった。
はっ、と不動が鼻を鳴らす。
｢てめェ、”キャプテンといっしょにサッカー出来て嬉しいです”ってサッカー大好き脳死野郎どもみてェな顔しながら、案外考えてんじゃねェか。｣
酷い言い草だ。
そんなつもりは、と弁明しようとすれば不動の心底楽しげな笑みが目に入る。
｢お前、思ってたより人間臭ェのな｣
｢……なんだよ、それ｣
脱力してしまう。
酷く棘のある言葉を履いているのに、浮かべる笑みは無邪気で。
ふと思い出したのは養父の所業の数々。
目の前で笑う不動だって、その被害を受けた一人なのだ。
｢……不動くん、｣
｢てめェが謝ったって何にも変わんねェよ｣
静かな声。
風さえも吹かず、互いの間に邪魔するものは何ひとつとして存在しない。
｢あれはお前が望んでやったことじゃねェんだろ｣
｢でも、｣
責められるなら俺の方だろうなァ、なんて呟く顔はもう笑ってなんて居ない。
ただ静かにそこに在るばかりだった。
｢そんなこと、!!｣
｢……じゃあなんて”真・帝国学園”なんて生まれた？｣
俺がなにもしなければ生まれなかったんだよ、と忌々しげに呟く。
｢それでも……君はやらなくちゃならなかったんだろ｣
｢……お前、やっぱキャプテンに似てるわ｣
それは良かった、と微笑めば心底気持ち悪そうに睨んできた。
そうであれば良かった。
日の下を胸を張って歩けるような、あの少年になれるのだとしたら。
｢……誰が悪くても、僕らは進むしかないんだ。｣
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湯葉(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!! (2020年10月5日 6時) (
レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 原作ではないお話も入っているのでいつもハラハラドキドキしながら読んでます！この先でもし、世界戦に主人公が選手として出場するなら味方として出ても、決勝戦で敵として立ちはだかってもどちらの展開でも面白そうですね！これからも応援してます！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
湯葉(プロフ) - 常備薬さん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
常備薬(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！やっぱり面白いです！ (2020年9月25日 22時) (レス) id: 074c2be95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年9月21日 12時
