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｢豪炎寺、調子が良くないようだな｣
｢……鬼道か｣
手持ち無沙汰にボールを遊ばせていれば、眉間に皺を寄せた鬼道が近づいてくる。
｢練習にあまり身が入っていないように見える。｣
また妹さんに何かあったか、と問う声は硬いが気遣いが滲み出ていた。
どうやら心配していてくれたらしい。
ありがたいことだ、と胸の内で噛み締めてから首を左右に振った。
じゃあ、と言う鬼道の声は普段のものからは想像ができないほど控えめで心配そうに響く。
｢高雅さんの、ことか……？｣
鬼道の口から出てきたのは、予想通りの名前。
否定すべきか悩んだ末に素直に首を縦に振れば、悩ましげに鬼道が溜息を吐き出した。
｢……あの後、鬼瓦さんたちが星の使徒本部を調査したらしいが、高雅さんのものらしき痛いは見つからなかったと言っていた。｣
最悪の事態は免れたと考えていいだろう、と重々しく付け加える鬼道。
それは知っている、と言うことも出来ずにただ黙ってそれらしく頷く。
結局豪炎寺はあの日彼に会ったことも、彼の父と”賭け”をしてしまったことも誰にも明かせずにいた。
否、明かさずにいたという方が正しい。
豪炎寺はすらも巻き込みたがらなかった彼が、それ以外の人間の介入を望むとは思えなかったから。
実際その判断は正しく、これ以上他人を巻き込みたくない、とあの日に彼の口から告げられた。
『とりあえず僕は僕で調査を続ける。
修也はサッカーに集中しな。』
『でも、それじゃあ』
いいから、と笑った顔は自然で優しかった。
誰よりも自分の夢を応援してくれている彼。
その彼に言われては、それ以上食い下がることは出来なかった。
｢どうしたんだ？作戦会議か？｣
｢円堂……｣
どうやら二人で話していたからか、作戦会議だと勘違いしたらしい。
俺も入れてくれよ、と無邪気に笑う円堂に鬼道が微かに表情を緩めた。
少しだけ、肩に入っていた力が弱まる。
いつもの”日常”の感覚を思い出せたような気がした。
｢いや……そういえば円堂は高雅さんのこと、何か聞いてないか？｣
｢皇のことか？｣
うーん、と考え込んだ末に思い当たる節がなかったのか、残念そうに首を横に振る。
さっきも皇の話だったのか、という問いかけに正直に頷けば円堂が何やら難しい顔で腕を組んだ。
｢何かあったのか？｣
｢いや……なーんか彼奴、違和感あったよーな……って。｣
円堂のぼんやりとした言葉に、豪炎寺と鬼道は顔を見合せた。
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湯葉(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!! (2020年10月5日 6時) (
レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 原作ではないお話も入っているのでいつもハラハラドキドキしながら読んでます！この先でもし、世界戦に主人公が選手として出場するなら味方として出ても、決勝戦で敵として立ちはだかってもどちらの展開でも面白そうですね！これからも応援してます！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
湯葉(プロフ) - 常備薬さん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
常備薬(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！やっぱり面白いです！ (2020年9月25日 22時) (レス) id: 074c2be95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年9月21日 12時
