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｢夕香、を……？｣
｢嗚呼、今後一切というのは語弊があるな。｣
唖然とする豪炎寺を楽しげに見つめた男。
後ろで跡が残るほどの強さで、彼の手首を握り締めている彼の顔からも色が抜け落ちていた。
｢どちらにせよ、この賭けに乗れば私の意志に反して此奴は動くことになる。
そんな奴を後継にするほど私も馬鹿じゃない。
別の器を探し、そいつを後継にする。｣
そいつが次の当主になり、接触禁止の命を取りやめればいつでも会いに来ればいい。
そんなの。
｢そんなの、対等じゃない……ッ｣
｢勘違いするなよ、豪炎寺｣
あくまで機会をもうけてやったのは私だ、と一転して冷ややかな表情で男は告げる。
夕香。
何よりも大切な妹。
それを見抜いて、目の前の男は選択を迫ってきていた。
お前の救いである”此奴”をこの檻から救うのか。
それとも”此奴”を見捨てて、大切な妹をとるのか。
｢初めから後継は沢山いたはずです。
どこに望まない兄さんを指名する必要があったんですか!?｣
｢”約束”だったからだよ｣
此奴も賭けをしたんだ、と笑う顔は何故だか彼にそっくりで。
後ろで豪炎寺を止める手が、ほんの少しだけ緩んだ気がした。
｢此奴は賭けに負けた。
まあ確かにこのままでは不平等過ぎるな、と呟いた男。
ひとつ教えてやろう、と浮かべた笑みはこの上なく愉快そうに歪んでいた。
｢お前がこの賭けに乗った時点で、此奴は私から解放される。｣
｢な、｣
衣食住はこのまま提供するが、その他の干渉はこちらからは一切行わない、と男は豪炎寺を前にして正々堂々と宣言する。
言われてみたらそうだった。
彼はどちらにせよ、豪炎寺がこの賭けに乗ればこの家から解放される。
後ろで必死にダメだ、と呟き続けていた彼が悲鳴のような声を上げた。
｢僕のことなんてどうでもいい!!
夕香ちゃんは……負けたら夕香ちゃんに二度と会えないんだよ!?｣
それだけはダメだ、と叫ぶ彼。
握られていた手首はうっすらと赤く染まっている。
｢利益、と言ったな。｣
言うならこの家には女が彼奴しかおらん。
あっけらかんと告げられた事実に彼の顔がみるみるうちに歪んでいく。
＿＿そんな、それだけの理由で家族の仲を引き裂いていいとこの男は思っているのか？
｢……条件は｣
｢修也ッ!!｣
｢”皇大雅”の真意をつきとめろ。｣
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湯葉(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!! (2020年10月5日 6時) (
レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 原作ではないお話も入っているのでいつもハラハラドキドキしながら読んでます！この先でもし、世界戦に主人公が選手として出場するなら味方として出ても、決勝戦で敵として立ちはだかってもどちらの展開でも面白そうですね！これからも応援してます！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
湯葉(プロフ) - 常備薬さん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
常備薬(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！やっぱり面白いです！ (2020年9月25日 22時) (レス) id: 074c2be95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年9月21日 12時
