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いーち ページ3

薄暗い通学路を歩いていた。

足元に注意して歩くという、なんとも難儀な歩き方をしていた。

まあ、仕方ないと思う。

寒さのお陰で道が凍っているのだ。

『はーっ、さっむい!!』

冷え切った手を口元に持っていき、息を吹きかける。

口から吐き出された生暖かい息が、手の平を少しの間だけ温めた。

‥‥肉まん食べたい。

ホカホカで湯気の湧き出る、美味しそうな肉まんを思い出すと、今にも涎が出てきそうだ。

くうぅぅ〜と、虚しくお腹の虫が鳴る。

はよ帰ろ。我が家族とアニキャラ達が私の帰りを待っている!!

そう意気込んで気合を入れ、一歩踏み出そうと足を前に出したそのとき。

気が緩んでしまったのか、注意が散漫になってしまい、頭から転げ落ちた。

『どぅわあっ!』

何とも女子力のない悲鳴である。

倒れた衝撃で頭を打った。

(いったー!!)

あまりの痛さに悶絶する。今思えば、ここでさっさと立ち上がって帰ればよかったものを‥‥

暫くゴロゴロ転げまわって、ようやく痛さが引いてきたので、ゆっくりと立ち上がろうとした。

その時だった。

キキ―ッと音がして、その方を振り返った。

次の瞬間、車の眩いアップライトが私を照らし出した。

その光に目がくらんで、一瞬目を閉じた。

次に目を開いたその先に映る光景は‥‥

凍った道路でスリップしたのであろう車が、私目掛けて突っ込んでくるものだった。

ドンっという鈍い音を鳴らして、車に跳ね飛ばされた。

その、たった一瞬の出来事が私には、スローモーションに映って見えた。

全身に走る痛みの中、頭に浮かんだのは、残していく家族と‥‥アニメの事だった。

くそぅ!まだ見てないアニメあったのにっ!

てか、コナンの新作、【から紅の恋歌(ラブレター)】見たかったのにっ!!

そんな空気を読まない発言を心の中で叫んでいたが、やがて、意識は完全にシャットアウトした。

後に残るのは、タイミング良く降り出した雪が道端を覆い、その白い雪が真っ赤な鮮血に染められてゆく、なんとも残酷で、それでいて、とても幻想的な光景だった。

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海迦月 - 美月さん» そう言ってもらえると嬉しいです(*'ω'*)更新頑張ります! (2017年5月20日 20時) (レス) id: 349c26b5b3 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 続きが気になります。更新楽しみにしてます! (2017年5月17日 16時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
海迦月 - 哀季莉さん» ありがとうございます!更新頑張りますね( *´艸`) (2017年4月20日 22時) (レス) id: 349c26b5b3 (このIDを非表示/違反報告)
哀季莉 - 次の話がとても楽しみです。更新頑張って下さい! (2017年4月20日 2時) (レス) id: 4314ae819e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海迦月 | 作成日時:2017年4月2日 1時

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