イルミナント

J108 #6 ページ49

重度の脱水。だろうなと思った。

だって、前も見たじゃん。これ。



点滴を受けて目を開けた慧くんはまだぼーっとしていて、俺を見つけて涙を流した。




「なんで…」

「ん？」

「なんで、助けるの。」



そう言って、泣いた。
困惑したように「なんで」と呟きながら訳も分からず涙を流していた。



「一人が、よかった。」

「……」

「でも、また無理だった。」



俺の目を見て慧くんが続ける。



「どうやったら、一人になれるの。一人で生きれるの。」

「一人で。」





「なんかもっ…いいやぁっ………」





ニコッと笑った慧くん。
背筋が凍る。




「一人でっ、生きたいと思ってたけど……一人で生きれないならっ、」


「慧くん。」


「生きれな…いっ……からっ、……それなら、死んだ方がマシっ…」


「そんな悲しそうな顔して何言ってるの。」





無理矢理笑顔を作ったところで、涙は止まらないんだよ。




「いいこと教えてあげる。」

「……」

「本音を隠すと涙が溢れるんだよ。」







あぁ、あの日から進んでいたことが一つあった。




「一人でダメなら一緒に生きようよ。」





慧くんを、ちゃんと抱き締められること。





J108 Fin.

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