イルミナント

J93 #4 ページ32

それから俺らは色々なお店を回った。

服屋はもちろん、スーパー、駄菓子屋、パン屋、本屋もCD屋も行った。

その中で慧くんがある一箇所に食いついた。



「おもちゃ屋さん？」

「入って…みたい」

「行こう！」



ダメかな？と言いたげな目で見てくる慧くん。
俺は何より、自分の意思を示してくれたことが嬉しかった。



「うわぁっ……！！」



入った瞬間に目を輝かせる慧くん。
外から少し中は見えていたけれど、やっぱり違うみたい。

天井近くまでおもちゃで埋め尽くされた壁に興味津々だ。



「これ全部、おもちゃ…？」

「そうだよ。」

「すっごい……初めて見た…」

「こんなおもちゃいっぱいあるの、珍しいよね〜」

「テレビのCMとかでしか、見たことなかった。光るおもちゃとか。」



「本当にあるんだぁ」って零す慧くんを見ていると胸がキュッと締め付けられる。



「光るおもちゃでもなんでも、言ってくれれば買うからね。」



もう、できる限りお金を出して色々なおもちゃを買ってあげたいとすら思った。
こんな、だって…もう小5だよ………？




「これ、欲しいなぁ……」




でも、慧くんが見つめていたのは小さなぬいぐるみだった。

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