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F92 #2 ページ8

3日後、教室に入ってきた。
慧くんが。



「今日からこのクラスに入る、伊野尾慧くんです。」

「伊野尾慧です。よろしくお願いします。」



少し鼻にかかった声で何事もなく自己紹介をした慧くんは、一番後ろの列の真ん中の席に座った。
一番前に座る僕は首を回して彼を見る。


まだ、混乱している。なんで君がいるんだ。

施設どころか、部屋を出ることすらほとんどないのに。



ふと机の中に手を入れると、湿った感触。
中を覗けばさっきランドセルから机に移した教科書が濡れている。

朝の会の前の一瞬か……。
本当に、慧くんの言葉を借りるならひどい輩だ。


…実は輩の意味はよくわかっていないけれども。
ひどいことは確かだ。




「それじゃあ、ここを八乙女くん。」


国語の授業、まわってきた音読の順番。
でかでかと書かれた落書きから透ける文章を読み上げる。



『施設の光』



文字が踊る。

来たくて、来たわけじゃない。
施設に行きたかったわけじゃない。

僕はただ、生きたかっただけなのに。

ただ、生きていたかっただけなのに。




ぼやっと考えている間にいつの間にか指定された部分は読み終わっていて、僕は静かに教科書を閉じた。


慧くんが教室にいることなんて、この時はすっぽりと頭から抜け落ちていた。

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青空と虹(プロフ) - わざわざ言っていただいたのにすみません……これからもよろしくお願いします! (2021年2月2日 2時) (レス) id: 4cc456b6d8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - 青空と虹さん» いえいえ!了解しました、これからも応援しています! (2021年2月1日 21時) (レス) id: 802ab26e17 (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - ぷく顔信者さん» はじめまして!コメントありがとうございます。今のところ自分の作品はイニシャルを入れずに伝えたいな、と思っており、入れずに進める方針です。読みづらくなってしまい申し訳ないのですが、誰が話しているのか考察して欲しいな、という作者の我儘です。ごめんなさい! (2021年2月1日 20時) (レス) id: 4cc456b6d8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - 初めまして!まだ数話しか更新されていませんが、楽しく読ませてもらっています(´˘`*) 差し出がましいのですが、鍵かっこの初めに誰が話しているかわかるようにイニシャルなど入れていただくことは可能でしょうか…? (2021年2月1日 19時) (レス) id: 802ab26e17 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青空と虹 | 作成日時:2021年2月1日 0時

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