イルミナント

F121 #3 ページ36

目が覚めたら病院にいた。
見たことある。この感じ。




「慧くん？」



「よかった」って言う雄也。
名前、合ってるはず。


目は少し充血していて、鼻のあたりがほんのり赤い。




「ごめん、なさい。」



気づいたら口から出ていた。




「ごめっ……なさい…」

「……こわかった、よね…」

「ごめんなさいっ……！」



涙が止まらなくなった。
目の前の雄也も俺を抱きしめながら泣いている。



「なんもっ…できなかったっ……」

「いい、いいんだよ…」

「ごっ……めっな…さい………」

「こわかったね、よく……っ…がんばったね…」

「こうちゃん…っ……」



それから話を聞いた。
あのあと2人とも救急車で病院に運ばれたこと。
家に電話が来たこと。
光と大ちゃんはお留守番してること。

宏ちゃんは、まだ目を覚ましていないこと。



「命に別状はないって言われてるから、きっと大丈夫。」

「っ……」

「もう、泣かないでよ〜」

「しんじゃうかと…おもった……」



お父さんとお母さんの時みたいに、もう目を覚まさないかと思った。



「兄ちゃんはそんなに弱くないから、きっと大丈夫。」



目を覚ました時にはきっとケロッとしてるよって、雄也は言った。

F121 #4→←F121 #2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す