イルミナント

F98 #3 ページ19

「けいくん、なんで上きたの？」


不思議そうに大ちゃんが慧くんに問いかけるけど、慧くんは何も言わない。



なんでってそんなん、俺の異変に気づいたからとしか考えられない。



そんなにわかりやすかったか？
俺のこと知ってた？
まともに話したことなんてないのに？
なぜ異変に気づいたからって上にわざわざ連れてきた？



疑問ばかりが頭に浮かんでくる。




「とりあえずその息、少し整えたら？」



自分の息が上がっていることに気づいた。
さっきの光から連想したせいだろう。

自分の妄想力と想像力には甚だ呆れる。




「ごめん…」



思わず彼に謝った。反射みたいなものだ。



「謝るようなことされてない。」




感情はこもっていないし冷たい言い方だけれども、その中には確かに優しさがある。


「へんなの〜」って無邪気に言って、「ひかだいじょうぶかなぁ」って心配そうな顔になる忙しい大ちゃんを見て思わず笑みが溢れた。



「大ちゃん、おいで。」


カーペットを撫でて大ちゃんを呼ぶ。



「ゆうや〜、ひかだいじょうぶかなぁ？」

「大丈夫だよ。宏ちゃんがいるだろ？」

「たしかに！」



確かになんて言葉、どこで覚えるんだろう。
その言葉にまた笑った。



「ありがとう。」

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