イルミナント

J105 #1 ページ12

何が、起こってる……？



「うっ……うぅっ…ごうっちゃ……んっ………！」



目の前で大泣きする大ちゃん。
それをこれまた泣きそうな目で見つめる慧くん。

その腕には、慧くんが学校に関係するもの以外で唯一持ってきた、ネコのぬいぐるみがグッと抱きしめられている。



「慧くん…」

「ごめんなさい。」



「僕が悪かったです」と食い気味に言った慧くんは、話をしようと中に入ろうとした俺たちを部屋から追い出し、ガチャリと鍵をかけてしまった。
泣きじゃくる大ちゃんと目の前の扉を見て呆然とする。



「大ちゃんは任せて。」



そう言って大ちゃんを抱っこしてその場を離れた雄也。


光がまだ帰ってきていなくてよかった。
もし帰っていたら可哀想な目に合わせていたかもしれない。



「慧くん。」



扉を少しノックして声をかける。
中からは何も聞こえない。




そもそも何が起きているのか。



慧くんが学校から帰ってきたのは見た。
ただ、それ以降の動向は全く読めず、気づいた時には慧くんの怒号と大ちゃんの泣き声だけが家中に響き渡っていた。




慧くんが「ふざけんな」と怒鳴っていたこと、泣きそうになっていたこと、そして大ちゃんが大泣きしていたこと以外、俺は何も知らなかった。

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