Memory

時 #2 ページ13

「やっぱり……。」





やっぱりそうだ。


有岡くんが幼稚園の頃なら、俺だって幼稚園児か小学校低学年。


記憶がなくなった時と完全に一致する。






「時期は一緒だけど、でも……。」




高木くんの言いたいこともわかる。


だって6.7歳くらいの子供だ。人を殺せる訳ないんだ。



それに




「俺、記憶が抜けてるって言ったじゃないですか。あれ、母親が死んだからなんです。」



「八乙女さんも…？」



「母親が死んだのを目の前で見たせいで、そのショックで記憶がないんだ、って。宏太に言われました。」



「だから例えば、俺が有岡さんのお母さんに何か言ったせいでとか、あり得なくないでしょ？母親がいなくなって他の母親に難癖つけるなんて。」



「……………。」




「だから、ちょっと宏太に聞いてみるね。」



「俺も、もう一回聞いてみます。有岡くんに。こないだは泣いて寝ちゃったんで。」



「………うん。わかった。」







言いながら、内心怖かった。


だって、本当に人の親を殺していたら。


宏太に「お前が殺したんだ」って言われたら。




そんなん、怖すぎるじゃないか。




頭の中は不安と恐怖でいっぱいになりながら、高木くんを見送った。

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