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「んじゃ自己紹介な」
ほら、と背中を軽く叩かれてマイクが此方へと向けられる。
あ、と小さく零れた声で分かったリスナーもいたのか、コメント欄が次第に俺の名前で埋まっていく。僅かに震えを孕んだ声で、名前を告げた。
「に、にじさんじWriter所属、渡A……です」
>!?
>Aっ!??!?!
>まってそこ関わりあったの????
>つかAが誰かと絡むの初じゃ……
>は??帰れよ
「配信しよーと思ったら丁度Aが本社に居たから引っ張って来たんだわ。だから緊張してっけどあんま気にすんなよ。
あとさっき言ったよな?俺が誘いたくてコラボしてんだけど」
>Aのコラボが見れて嬉しい!!
>推しと推しが仲良かったって知れて感謝
>あんま絡んで欲しくない
>葛葉と仲良いですって売名かよ
>おま、あーあ……
「__言うなって、言ったよな?」
「えっ、葛葉くん?」
「俺の全部受け入れろとも言う気はねぇけど、だからって相手を批判すんのは違ぇだろ。"批判は辞めろ"、"俺から誘った"とも言った。再三注意したかんな」
お前らもうコメントすんなと。
真剣な瞳で怒ってくれる姿に嬉しくなってしまったと言ったら、葛葉は俺にも怒るんだろうか。
それでも、だからと言って自分の大事なヤツを貶されて受け入れるのは可笑しいと。
自分を貫き、正面から言葉をぶつける葛葉が眩しかった。
「取り敢えず暫く反省しとけ。
……あー、変な空気になっちまったけど続けてくか。
A、お前普段ゲームしねぇんだっけ」
「え、うん。
俺は普段は作曲しながらの作業配信か雑談かな。頻度はあんまり高くないけど」
「ならゲームすんぞ。
スニッパーズと書かれたカラフルなケースを此方に翳して彼は笑った。
「お前の不器用さも、性格も。なんだって知ってんだから何時までも緊張してんなよ」
「!」
何気なく発したであろう言葉に、これ以上なく嬉しくなる。
『知っている』という言葉が、これほど心を暖かくするものだと過去の俺は知らなかった。
にじさんじに入ってからの何よりも心が痛い。暖かくて、辛くて、感情が溢れそうになる。衝動のままに掻きむしりたいのを抑えて、泣きそうな声は誤魔化せたのかな。
「うん…ありがとう、"葛葉"」
何時だって、前に進ませてくれるのはキミなんだ。
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りく(プロフ) - 日向さん» 楽しみにしております! (2022年1月18日 4時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - りくさん» 頑張りますね!!取り敢えずは本編に繋がるまでのwtrの回復するまでのお話を書けたらなと! (2022年1月17日 23時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 日向さん» 素晴らしいですよね!!!((マッテマス) (2022年1月17日 22時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - りくさん» 本編は幸せメインですが、こちらは完全に闇に染めてしまうのも手ですかねぇ??笑 ……闇落ちって素敵ですよね← (2022年1月17日 22時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 日向さん» 幸せなwtrをずっと見ていたい!!!でもっ!!!!独りで苦しんでどうにも出来ないwtrもみたいッ! (2022年1月17日 19時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2021年10月23日 14時