再び運命が交わった譚 ページ17
カミサマに放り出されたあと、気付けばこの世界へと辿り着いていた。
何でこの世界に来たのかは分からなかった。ただ近かったからなのか、それ以外に何か直感が引き寄せたのか。
傷も癒えて、自身の精神も少しだけ落ち着いた頃。
遠い過去の記憶を思い起こして、なんとか人間の生活を真似ては見たものの、どうも上手くいかない。
何かが欠けているような虚ろな気分でいて、無気力な自分がただ其処に存在していた。
空っぽな自分。誰も気にも止めない空虚な自分。
昔の俺は、日常をどう過ごしていたんだっけ。
*
誰かとの繋がりが欲しかった。
それでも1度根付いたトラウマはすぐには拭えなくて、自ら親しい友人をつくることは脚が竦んで出来なくて。
1人暗い部屋の中で懐古する中で思い出した、記憶を風化させないためにただただ曲を作ってた。
そんな日々が少し続いて、作った曲たちをどうすることも出来ず、データの海に堆積するだけの音の羅列を吐き出す事にすら意味が見出せなくなった頃。
("にじさんじ"……)
趣味で作曲している人達はどうしているのだろうかと調べていた時に見つけた。
広大な電子の世界から見つけたその言葉に、何故か強く引かれた。
(新グループの創設……様々な手法での物語の紡ぎ手を……)
物語。
それは、曲でもいいんだろうか。
VTuberがどんなものかはよく知らないけど、画面越しならば……恐怖に怯えることなく誰かと繋がれるんじゃないか。
そう思った時にはもう、俺はにじさんじのライバーとしてデビューすることしか頭になかった。
*
書類審査や面接など、多くの過程を経て俺は無事にデビューが決まった。
少し先に始動していた『ゲーマーズ』というグループや『にじさんじ』の人達と顔合わせをするらしく、少し緊張しながら本社へと向かう。
__悪夢だった。
同じライバーとして紹介される人はその多くが過去に関わったことのある存在だった。
苦しいほどの懐旧の念が俺の心臓を締め付けるのに、相手は『初めまして』と笑うんだ。
笑みを浮かべて差し出された手を握り返す表面とは裏腹な内面が酷く膿んでジクジクと傷を刻み込む。
俺は乖離した精神のまま、新しく開いた扉の向こうへと笑みを向けた。
その先に見えたのは、忘れたくても忘れられない紅玉と水宝玉。
……何が、"この世界に来た理由がわからない"、だ。
全てを諦めたと思っていたのに、俺は無意識に親友へ縋ろうとしていたのか。
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りく(プロフ) - 日向さん» 楽しみにしております! (2022年1月18日 4時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - りくさん» 頑張りますね!!取り敢えずは本編に繋がるまでのwtrの回復するまでのお話を書けたらなと! (2022年1月17日 23時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 日向さん» 素晴らしいですよね!!!((マッテマス) (2022年1月17日 22時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - りくさん» 本編は幸せメインですが、こちらは完全に闇に染めてしまうのも手ですかねぇ??笑 ……闇落ちって素敵ですよね← (2022年1月17日 22時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 日向さん» 幸せなwtrをずっと見ていたい!!!でもっ!!!!独りで苦しんでどうにも出来ないwtrもみたいッ! (2022年1月17日 19時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2021年10月23日 14時