特異な髪色の譚 ページ12
澱を倒し終えて、周囲に倒し損ねた相手がいないか森の中を探索していた時のこと。
パキリと小枝を踏んだ音がして、その方法へとバッと振り返った。
「えっ、……け、怪我」
「誰かな?
此処は、村人たちが簡単に入ってこれるような浅い森じゃあないんだけど」
「いや怪我!!
なんで平然と話してるの!?血ィ止まってないって!!
そこ!しゃがんで!!」
「え、ちょっと…ッ、」
ふわりとした黒髪に一筋の赤色。
特徴的な髪色をした青年が木々の隙間からこちらを覗いていた。
初めは怯えたように後ずさっていたけれど、俺の怪我を視界に入れてからは駆け寄ってきて力任せに地面に座らされた。
……それは、さすがに痛いんだけど。
怪我になれていて、多少の痛みは気にしていなかったけれど思ったよりも重症だったらしい。青年に止血されている最中に何度かクラりと目眩がした。
「……ごめんね、ありがとう。
さて、迷い込んだ村人かな。お礼に送っていくよ、家はどこ?」
「や、助けたのは俺の勝手だし……送らなくていいから、」
急にしどろもどろになる青年に、訝しげに眉をひそめてしまう。
少し事情を聞こうかと立ち上がり、同じく座っていた青年に手を伸ばすと辺りに鋭い声が響いた。
「なに、してるの。明那から離れてもらえる」
疑問符のつかない、力強い声。
新たな声へと視線を向ければ同じく黒髪の青年。その髪は左サイドが碧色に染まっていた。
「まーゆー?明那見つかったん〜?」
「まゆ、ふわっちも……」
声を上げながら姿を見せたのは藤色の髪と躑躅や桔梗を思わせる差し色の入った青年。
最初の青年も同じくふわりとした髪が揺れた。
「……この人の知り合い、かな。
怪我してたところを助けて貰ってね、森は危ないし良かったら家まで送ろうかと思っていたんだけど。お迎えが来たなら大丈夫かな」
「……そう、なら問題は無いから早く帰りなよ。
"危ない"森に長居する理由もないでしょ」
「ま、まゆ!
俺から話しかけたし、この人怪我してるんだって!」
「んー、取り敢えずあきにゃはこっち来とこか」
どうしたものか。
取り敢えず、警戒されているということは分かった。
助けて貰ったら、お礼はしないとダメだって刀也に教えてもらったんだけどな。
「そもそも、そんな血塗れた布を被って頭を隠してる人なんて怪しすぎるでしょ」
「え?
あぁーっと、……なら布外すから心の準備だけして貰っていいかな」
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りく(プロフ) - 日向さん» 楽しみにしております! (2022年1月18日 4時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - りくさん» 頑張りますね!!取り敢えずは本編に繋がるまでのwtrの回復するまでのお話を書けたらなと! (2022年1月17日 23時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 日向さん» 素晴らしいですよね!!!((マッテマス) (2022年1月17日 22時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - りくさん» 本編は幸せメインですが、こちらは完全に闇に染めてしまうのも手ですかねぇ??笑 ……闇落ちって素敵ですよね← (2022年1月17日 22時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 日向さん» 幸せなwtrをずっと見ていたい!!!でもっ!!!!独りで苦しんでどうにも出来ないwtrもみたいッ! (2022年1月17日 19時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2021年10月23日 14時