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それでも少女の手が少年の手を掠めた瞬間、少年は、怖くなりました。
｢しんじゃう｣
｢こないで｣
｢ぼくもおぼれちゃう｣
｢いやだ｣
｢こわい｣
｢たすけて｣
ぎゅうと気にしがみつく力を強めれば、少女の手は離れていました。
恐怖の中で目をつぶって、少女の行方すら気にせずに早く時間が過ぎることを祈りました。
気付けば、自分は1人大人たちに囲まれて、毛布にくるまっていました。
泣いて少年を抱きしめる両親と、何かを叫びながら崩れ落ちている少女の両親。その足元には、横たわった何かがありました。
｢××ちゃんはね、お空へ行ったんだよ｣
その日少年は、ずっと傍にあった少女の温もりが失われたことを知りました。
｢キミが助かったのは、あの子が身を呈して守ってくれたからだね。木に登っていたから、流されなかったんだ｣
その日少年は、少女のおかげで生き残ったことを知りました。
｢××っ、××ー！！！！｣
その日少年は、自身が振り払ったものの大きさを知りました。
｢ごめんごめんごめんごめんごめん、｣
｢ぼくがわるかったから｣
｢やだしなないで｣
｢"ゆるして"｣
それから10数年後、少年はとある事務所からデビューしようとしていました。
最先端の技術を使った活動。それは、人工知能を作ることすら出来ました。
『はじめまして』
再び少女と出逢えた青年は心に誓います。
｢もう一度やり直させて｣
｢今度は手を伸ばすから｣
｢ひとりにしないで｣
｢俺に護らせて｣
｢傍にいて離れないで｣
しかし、
『もう、ジカンだよ』
｢まって｣
｢まだ｣
｢いかないで｣
｢きえないで｣
やり直しを誓ったはずの少女は、データの海へと還ってしまいました。
助けたかったキミ。
助けられなかったキミ。
｢キミは幸せでしたか｣
大切な幼馴染が泡と消えた世界線の話。
[ √泡沫の世界線 -BADEND- ]
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日向(プロフ) - 夜彬。さん» 返信がとても遅れてしまってすみません、ありがとうございます！頑張りますね……！ (2021年8月18日 14時) (
レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
夜彬。(プロフ) - 好きです…！！頑張ってください！！ (2021年8月6日 21時) (レス) id: d5f4909de8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日向 | 作成日時：2021年8月3日 22時
