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『上がろう。』
その一言が紡がれる前に、聞いたことの無いサイレンの音が響きます。
｢__川の上流での豪雨により、鉄砲水の危険があります。川の付近にいる方は今すぐに避難を__｣
少年は怖くなって動けなくなってしまいました。
何か大人が焦った声で話しているようですが、内容が難しくてまだ幼い少年には分からなかったのです。
ただその雰囲気に足がすくんだのです。
放送の音に気付いた少女は慌てて少年の元へと引き返してきます。
そんな僅かな間にも先程からの音は大きくなり、地響きも感じられます。
今まで穏やかだった水流も増して、少年は自分が流されないことで必死でした。
少女は状況が刻一刻と変化していく事態に恐怖を覚えながらも、少年と助かるべく何とか方法を考えます。
焦る中で少女は川の中洲に木が生えていたことを思い出します。
今の位置からは岸へ戻るよりも距離が近く、
少女は少年の手を引いて流されないように注意しながら中洲を目指し、少年が先に木に登るよう促します。
少年は｢怖い｣と泣いてしまって中々登りません。
少女は下から少年を待ち上げて、手を木にかけるよう指示をして無理やり登らせました。
川の水は、もう中洲を覆い尽くしていて少女の足は水に浸かっています。
それでも少年を安心させるように笑って、自分も木に手をかけました。
そして、気付きました。
自身がもう、自力では木に登れないことに。
少女は頭が真っ白になりました。
いくら木に登るためにジャンプしようにも、足を覆い尽くす水が重くて動けません。
身体が浮いてから登ればいいのかもしれませんが、水流は今も強くなっていて足が浮いてしまえば流されてしまいそうです。
｢××？｣
中々登ってこない少女を不思議そうに少年が見返します。
少女は、引きつった笑みを返しました。
ドウッ、と水が押し寄せて、少女の歪な笑みはすぐに見えなくなりました。
｢＿＿ッ、××！！｣
｢たす、け、……！｣
少女の命綱は木を掴む自分の腕1本。
もう片方の手を必死に伸ばして、助けを求めます。
水はすぐに少年のいる高さまで上がり、少年も必死に木にしがみついていて、少女の手は掴めません。
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日向(プロフ) - 夜彬。さん» 返信がとても遅れてしまってすみません、ありがとうございます！頑張りますね……！ (2021年8月18日 14時) (
レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
夜彬。(プロフ) - 好きです…！！頑張ってください！！ (2021年8月6日 21時) (レス) id: d5f4909de8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日向 | 作成日時：2021年8月3日 22時
