空色に憧れて。【そらびび】

夢の中 ページ8

そろそろ編集を明日にまわそうとしようとした頃には椅子で寝ていた。

「…」


俺は、うっすらと意識がある状態で白い場所に立っていた。

(きっと夢だ)


夢の中で誰かが俺を追いかけてきていた。

それは怖いとかそんな物ではなく、その“誰か”を見た瞬間に心がいっぱいになった。


「そらびびさーん！？」

“誰か”が居る方から、驚きと嬉しみが混じったような声が聞こえた。

俺が最近聞いた声だ。


黒く濁ったような影が、段々と形と色が明らかになった。


「もしかして、まゆめさん？」

彼女だという自信はないのに、その言葉がスラスラと口から出る。


「そうです！やっぱりそらびびさんですか！」

“まゆめさん”と名乗る彼女は、可愛くて、どこか守りたくなった。


「エート…まゆめサン？どうして俺の事知ってるの？」

慣れない彼女の活動名を言うのは結構緊張する。


「ファンですから！」

笑顔で“リスナー”ではなく、“ファン”と言う彼女に胸が踊った。

“知ってくれている、好きになってくれてる”

そんな思いのせいか、顔が赤くなるのを感じた。


(俺、どうして彼女に…？)


「まゆめさんって、彼氏とか好きな人とか…居る？」

俺は顔の赤さを誤魔化そうと、必死に聞く。

「い、居ないですよ！！」

“変なこと聞かないでください”と彼女は顔を赤らめて言った。

(可愛い…。)



「俺も言った方がいいよね？」

俺は聞いてばかりだと嫌な印象を持たれると思って聞く。


「…そらびびさんに任せます。」

彼女は少し下を向いてそう言った。

(恋で嫌なことでもあったのかな？)

俺は、言っていいのか不安になりながらも口を開いた。

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