空色に憧れて。【そらびび】

好き ページ49

「僕と付き合って下さい！！」

彼は大きな声で、私の目を見てそう言った。

ドッキリでも、嫌がらせでもない。

きっと彼は本気なんだ。


「はい！喜んで…！」

私は涙目になりながら答える。

次第に涙が落ちていく。

「ええ！大丈夫ですか！？」

彼が心配してくれた。


でも、そうじゃない。

悲しくない、嬉し泣きだ。

その事を伝えれば、彼は抱きついてきた。



背中は床、体の上には今さっき恋人関係になったばかりの彼が居る。

彼は、私の際どい所を触るわけでも無く、泣きながら私に掴まる。

(そらびびさんの匂い…。)

「良かったぁぁぁ！！！僕、初対面なのに告白してすみません…しかも、あんな形で。」


あんな形というのは、床ドンの事だろう。

普通は、あの形は有り得ない。

その一方で、告白の言葉は珍しい訳でもない。


(でも、人生最高くらいに嬉しかったな。)

涙が出る程のものは、今までの私には無かった。



「あんな形だっていいですよ。…それにしても、
そらびびさんって大胆な方だったんですね！」

「いや、それは違くてですね！」

全力で拒否をする彼が可愛く見えた。


トドメに、目線を逸らしてかっこよかった、と伝えると彼は口をぽかんとさせる。

褒められるとは思っていなかったのだろうか。


「ありがとうございます…。」

声が小さくなっていた。

それを見ると、私も恥ずかしくなっていく。



「じゃあ、続きしましょうか。」

彼は床ドンから馬乗りに変わった。

男性と女性じゃ、体格差で退ける訳がなくて。

(えっ…えっ！？)

それはそれは、満面な笑みで上から見下ろしてくる。

流石に身の危機を感じた私は、やめてと伝えた。


「……ププっー！何と勘違いしてるんですか〜？」

彼はそう言って、私の唇に軽くキスをした。

「何でもないです！！」

私は顔を隠して、彼に見られないようにした。


(これでも初めてなのに。)

私からしてはハードルは高い。


「初めてだったんですか？」

何故かバレていて、理由を聞けば私が声に出してしまったそう。

「僕も初めてですよ。」

信じられないが、彼は「彼女いない歴=年齢」だ。



「…でも、本当にありがとうございます。こんな僕と付き合ってくれて。」

彼はいきなり落ち着き、そう言った。

「“こんな”なんて言わないで下さい。私にとって、そらびびさんは憧れですから。」



お互いに笑って、そして軽いキスを交わす。


彼は今日、私の憧れから恋人になった。

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