空色に憧れて。【そらびび】

声真似 ページ43

まゆめside

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「え、じゃあ、お願いしますお願いします！！」

そらびびさんが頭を下げてお願いしてくるのは、何というか面白い。


(一応、先輩だし調子乗りすぎないようにしないと…。)

彼の中に先輩後輩の意識があるのかは知らない。

だけど、視聴者の方には私の調子の乗りすぎ気づく人が多いだろう。



「じゃあ、分かりました。もう一戦だけですよ？」

私は彼にそう言った。

彼は私の煽りに怒る素振りすら見せず、ただ私ともう一戦出来る事に喜んでいた。


さっきの三ストックルールとは異なり、一回倒されると負け、というルールに変更した。

彼も私も、キャラクターは変えずに勝負を開始する。

私のカービィは空中でフワフワと浮き、稀に彼のピカチュウにストーンで攻撃する。

「ぎゃぁぁ！！」

その度に彼は叫ぶ。



(でも、これじゃあ実況者らしく無いか…。)

流石にこのやり方は無いと思って、地上に降りる。


「どりゃぁぁぁぁ！！！」

それが凶と出て、カービィはピカチュウの電光石火で飛んでいく。


まだ復帰が出来そうな距離で、浮こうとしたが、彼のピカチュウが妨害する。

結果、私の負けだった。



「…そんな…嘘……。」

私は、私が思っている以上に自信があったのか、もしくは調子に乗っていたのか、茫然となった。


「イエーイ！！勝ったぞぉぉ！」

彼の言葉で、ふと我に返る。

(そうだ、彼だってゲーム実況者なんだ。)

負けてばかりのはずがない。

それに気づくのが遅かったんだ。



「じゃあ、罰ゲームお願いしまーす♪」

彼は弾む声で、そして満面の笑みで言った。

心做しか、少しゲス顔に見える。

(私もこんな顔してたのかな？)

確かに、こんな顔をされれば私だって苛立ちだけで勝てる。


自分からもう一戦していいと言った人間が負ける。

それは情けない事で。


しかし、そればかり考える訳にも行かず、私は真似の準備をする。

「はーい、三、二、一！」


「はいどうも、そらびびです。」

途中で笑ってしまったが、結構上手かったと思う。


何故か、彼が私の顔をじっと見る。

また可笑しくなったのかと思いきや、「すげぇ」と呟く。

「俺そっくりじゃないですか！」

女性なのにと彼は驚いていた。



(罰ゲームで褒められるのは爽快だなぁ。)

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