4話「何故か気になる隣の子」 ページ19
早速一限目が始まった。さっきのざわつきは無くなり、一気に静かになる。
だが、紫倉さんは何故か机の中の教科書を 出してはしまう を繰り返して慌てている。
机の中からは新品の教科書だけでなく、折り目がしっかりついている教科書もあった。
(きっと、前の学校から使っているものなんだろうな…。)
先生もその紫倉さんをチラチラと不安そうに見ている。
こんな事を考えている間にも、ずっと 出してはしまう を続けている。今度は机の横の鞄に手をかけた。
見た目とは違い、意外と忙しい人なのだろうか…？
取り敢えず俺は小声で問いかけることにした。
〘ねぇ、どうしたの？〙
この問いかけに少し戸惑いつつも、
『あ、いや、ちょっと数学の教科書が見当たらなくてさ…。』
紫倉さんは小声で返してくれた。そして、手を挙げ先生に声をかけようとしていた。
これはチャンス…！！
そう思った俺は紫倉さんの今にも挙げそうな手を優しく抑え、
〘…な、ないなら俺が貸すよ。〙
と言った。
女子と関わらない、関われない系男子に属している俺に対しては上出来な行動と発言だったと思う。
紫倉さんは俺のこの言葉を聞くとパッと顔を明るくし、
『ありがとう』と天使の微笑みで言う。
この聞こえないほどの小さな声の会話を先生は聞き逃さなかったのだろうか。さっきまでチラチラ紫倉さんを見ていた目は、今は黒板一筋だ。
そして、俺は
教科書を見せるために、机を寄せ、少し空いている机の隙間をなくした。
今、イサムが俺を見てイライラしているのは気のせいだろうな。
うん、きっと気のせいだ。
机を近づけると、紫倉さんから凄く甘い香りがする。シャンプーの匂いだろうか。
…変態か俺は。
そんな俺を他所に、紫倉さんは真面目に授業を受けている。
先生が、⌜これ分かる人〜？⌟等言っても紫倉さんは手を挙げない。紫倉さんのノートを横目で見ている限り、計算の仕方が分からないというのはなさそうだ。
良かった…。優等生タイプじゃなくて。俺は成績が良い子は全然良いが、優等生は結構苦手だ。。
『どうしたの？私の顔に何かついてる？』
〘え、あ、何でもない。〙
びっくりしたぁーー。急に声かけられたものだから…。俺、そんなに紫倉さんの方見てたのか。
(なんか俺、調子狂ってるな。)
多分、普段絡まない女子と絡んでいるからだろうな。
5話「男子トイレでの3人衆」→←3話「転校生の周りは騒がしい」
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やゆり(プロフ) - 苗木さん» 観覧、コメントありがとうございます！確かにみかんちゃんはウチでしたね、指摘ありがとうございます！訂正しておきますm(*_ _)m そろそろまた更新する予定なので今後ともよろしくお願いします！！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 71fe60554b (このIDを非表示/違反報告)
苗木 - とても面白かったです! 続きは気長に待ってます(*´・ω-)b。 一ヶ所だけ気になったのですが、みかんの一人称は確か「ウチ」だった気がします。間違ってたらすみません(-人-;) (2019年10月5日 21時) (レス) id: 08dcfb47a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やゆり | 作成日時：2019年8月20日 16時
