センパイとコウハイって【青】 (ページ2)

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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 1年前

　

「 ……やば、傘忘れた。｣

この前入学してやっと学校にも慣れた頃。

6月入ってすぐ、梅雨入りする、しない、そんな微妙な時期に私は折り畳み傘も持たずに学校に来てしまった。

案の定、予想もしていなかったゲリラ豪雨に出会ってしまい帰れない状態。

　

しかも入学してすぐ仲良くなったハルは部活に入ってて今日は明日練習試合だからってここではなく別の体育館で練習しているらしく、HR終わったら速攻教室を出て行った。

　

さて、困った。今日は両親が遅番だからわたしが家の事しないといけないのに帰るのいつになる事やら。

　

なんて、帰ることを諦めかけた瞬間。

　

？「ん、これ使えば。｣

　

隣から無愛想に傘を差し出してきたのが、

　

「 ……え、でも今雨降ってて、｣

？「いいから、早く。｣
　

そう言われて無理やり傘押し付けられた後、脇に挟んでいたスクバを頭の上に乗せてその男の人は去っていった。

　

「 ……わた…なべ？｣

　

殴り書きされたような名前の後が持ち手のとこに書かれていて、多分ずっとこの傘使ってるんだと思う。もう名前が書かれているものも掠れて消えかけているから。

　

渡辺って、学年に居ないしなんならあんな顔見たことない。って言うことは、

　

「先輩…なんだ。｣
　

この日を境に先輩の事目で追うようになって、

　

「あの、これこの前貸してもらった傘です。｣

渡辺「あー、忘れてた、この傘。｣

深澤「えー！なに！傘無くしたって言ってたのもしかして後輩ちゃ…ぐふっ、｣

渡辺「ごちゃごちゃうるせえ、喋んな！｣

　

顔を真っ赤にして隣にいた別の先輩を押さえ付けてる。

先輩、傘貸したこと恥ずかしくて言ってなかったんだ。しかもそれを誤魔化すネタが無くした、だなんて可愛い。

　

深澤「ねえ、君なんて名前なの？｣

「三好Aです。｣

深澤「三好ちゃんね！俺深澤辰哉！適当にふっかとでも呼んで！｣

「深澤……くん、｣

深澤「やべえ、こんな可愛い子に深澤くんだなんて呼ばれたらドキドキしちゃうわ…… ｣

渡辺「お前チャラいから余計な事すんな。｣

　

だなんて言いながらその時は深澤くんを引きずって何処か行ってしまった。