センパイとコウハイって【青】 (ページ1)

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「ちょっと行ってくる！｣

ハル「あー、あの例の先輩？｣

「そうそう、また後でね！｣

ハルが言う〝例の先輩〟っていうのは、

　

「先輩、これいつものやつです。｣

渡辺「 ……やば、もうそんな時間？｣

　

先輩の額に冷たいミルクティーをコツンとぶつけると、眩しそうに目を細めて欠伸してる。

　

「ここ、涼しいですね。｣

渡辺「それに、めんどくせえ女も来ないし。｣

「とか言いつついつも嬉しそうにしてる癖に。｣

渡辺「なに、嫉妬？｣

「違います。｣

　

嫉妬？だなんて少しバカにした口調で言ってくる先輩がムカつくから、ベンチに腰掛けてる先輩の横に座り軽くグーパンチしてやると骨折した、だの言ってる。

　

「そうだ、今日朝深澤くんに会いました。｣

渡辺「はあ、ふっかに？なんで？｣

「なんでって…最寄り一緒なんです、この前たまたま出会ったんですけど話してたら隣の中学だったみたいで。｣

渡辺「 ……ふーん。｣

　

いつも先輩は私にネタを振るくせに最後の方には興味無さそうにふーんって言うんだ。まるで、聞いていないかの様に。

　

「興味無いなら聞かないでください。｣

渡辺「別にそんな事言ってねえじゃん。｣

「言ってるように見えるんですけど。｣

　

んはっ、だなんてくしゃっとした私の好きな笑顔で笑う先輩の横に入れるこの空間がとても心地よい。

　

渡辺「ん、これお駄賃。｣

「またいつものチロルチョコ？｣

渡辺「なんだよ、悪いかよ。｣

「んーん、美味しいから好き。｣

　

先輩が好きなチロルチョコ。

日によってチロルチョコの味は違うんだけど、

　

「あ、今日はいちごだ。｣

渡辺「今日、ピンクのリボン付けてるし。｣

　

なんて、少しした変化にも気が付いてくれる。

　

「これ、昨日ショッピングモール行った時に買ったんです。どう？似合う？｣

渡辺「別に、でも悪くねえじゃん。｣

　

恥ずかしがり屋な先輩は決して〝可愛い〟とまでは言ってくれないんだけど、いつもこうして遠回しに言ってくれるんだ。

　

そんな先輩との屋上で約束して会うまでの関係になったのは、