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「翔太は？」
佐久間たちが慌てて病院に訪れた。
深澤の知り合いの医師曰く、銃弾は心臓から少し外れた所に当たっていて命に別状はないとの事。
ただ、目は覚さない。
安堵する佐久間とラウールを尻目に向井は足りないメンバーについて瞬時に気づいた。
「ダテは？」
「逃げたよ。」
「え？に、逃げた？」
深澤が淡々と語るが、向井は意味が分からないといった表情を浮かべている。
「現実が受け入れられないのか、はたまた、俺たちの前に顔を出すのが嫌になったのか、翔太が被弾した後、行方をくらませた。」
「翔太くんを置いていくなんて相当ですよ。戻って来ますかね？」
目黒が不安そうな表情で問いかける。
その問いに答えが出ないのか、メンバー内では沈黙が広がっていく。
「……俺たちに定められた暗黙の了解を破った挙句、耐えられなくなって逃げてしまったからね。」
「おい、ふっか！舘さんをそんな酷い言い方しなくてもいいだろ！」
包帯を巻いて如何にも傷だらけといった岩本が深澤の説明に反論する。
まだまだ、この二人はギクシャクしているなとラウールは最年少ながら察した。
「皆んな、今はちょっと頭を冷やそう。チームの事は後で考えよ。」
阿部が頭を働かせる。
こういう時の冷静さに感心し、目黒も頷く。
「そうだね！阿部ちゃんの言う通り！一旦、解散！ねっ、ラウール ♪ 」
「佐久間くんの明るさには参っちゃうなぁ、もう！」
渡辺の居る病室をそれぞれ出て行く。
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病院の屋上。
月明かりだけが唯一の光。
解散した後、向井が独りで訪れた。
「来てたんやね、ダテ。」
「……俺には会う資格は無いよ。」
宮舘の表情は影に隠れて見えない。
ただ、声に元気が無いのと後ろ姿が頼りなくて悲壮感が漂っているのが分かった。
「資格とかそういうの要らんわ。起きた時に翔太くんが一番、最初に見て安心するのはダテの姿やろ！」
「……俺は取捨選択を間違えたんだ。大事なものを取りこぼして結局、全て失うんだ。でも…ありがとう。康二の話を聞いて翔太が生きてるって分かって…安心したよ。」
「ダテ、感謝する相手は俺ちゃう。ダテを庇った翔太くんに一番に感謝せんといかんやろ！」
「……ごめんね。やっぱり俺には面と向かって直接、言える勇気が無いんだ。」
宮舘はそう言うと向井の前から去って行こうとする。
「ま、待って！」
「……ダメだよ、康二。俺に関わったら損するよ。」
「損なんて…！」
「裏切り者だから、俺は。」
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赤雪(プロフ) - ceruさん» コメントありがとうございます！幼馴染が好きすぎるあまり色々と書きやすいんですよね。そう言ってもらえて嬉しい限りです！マイペースですが、更新頑張りますので宜しくお願いします！ (2月24日 1時) (
レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
ceru(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します！赤雪さんの作品の、世界観や展開、それぞれの関係性が凄く好きです！特に幼馴染の2人の関係性がとても好きです。これからも更新楽しみにしています！ (2月23日 20時) (レス) id: c99a8bf9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤雪
| 作成日時：2023年1月27日 18時
