obligation ページ18
side Shota
「入れ違ったか。ここは間抜けの殻だな。」
ふっかたちと合流失敗。
俺たちが彼らの跡を追っているだけだ。
「何か嫌な予感がする。」
「やめてくれ。お前のそれ、よく当たるじゃん。」
照のこういう野生の感覚がよく当たる。
勿論、嫌な予感なのだから嫌な展開なんだろう。
「おい、あれ…。」
「ふっかの依頼主の女だ。」
独りで何やってんだ？
ふっかたちは大丈夫なんだろうな？
俺たちは拳銃を構えて進んでいく。
「あらら、また、鼠が増えたのね。深澤くんの愉快な仲間たち。」
「馬鹿にしてんのか？」
「煽られて感情的になるなんてまだまだ甘いわね。」
「そんな事より、独りで何やってんだ。」
素朴な疑問だった。
照はふっかが絡むといつもより感情的になるから、俺が冷静にならないといけない。
俺だって大人だし、常にわがまま言ってる訳じゃない。やる時はやるんだわ。
「待ち伏せしてたのよ。鼠が沢山、潜り込んでいるのを先に知っていたからね。情報を制する、それが鉄則。正々堂々、一人残らず、始末してあげるわ。ここが深澤くんとその仲間たちの墓場になるのよ。」
「ふざけんな。それを言うなら、アンタの墓場が此処だ。」
照が引き金を引こうと指を動かした瞬間だった。上から弾丸が一発。
その軌道は丁度、手元の拳銃を綺麗に弾き飛ばすものだった。
「腕や体に傷をつけずに武器だけを…！」
照は目を丸くしている。
瞬時に俺は軌道の元を辿って見上げる。
この完璧なスナイプ、易々と身につけられる代物じゃない。同業者の中でも限られてくる。
元軍人か、殺し屋か、それとも…。
「……涼太！」
涼太が遠距離を狙う小銃を構えていた。
照準器から俺たちを見下ろしていた。
「どうしてだよ、舘さん。」
涼太が俺たちを裏切ったのか？
いや、涼太に限ってそんな事ある訳ない。
「私が見込んだだけはあるわ、流石ね。」
涼太は俺たちを見下ろす。
しかし、その手が酷く震えているのを俺は見逃さなかった。
「…無力化。それが貴方への恩返し。」
涼太はボソッと呟いた。
苦しそうな表情で俺たちと対峙している。
「いくら舘さんでも、裏切りなんて許されない。ラウールの時と話が違う。」
「恩返し？何だよ、それ。」
「ああ……翔太……酷いな…。忘れたなんて…言わせない。」
「涼太、はっきり言ってよ。」
「……拳銃を向けていた人は俺たちの恩人だ。だから、俺は殺させない。」
そう語る涼太の目は冗談では無く、真剣だった。
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赤雪(プロフ) - ceruさん» コメントありがとうございます！幼馴染が好きすぎるあまり色々と書きやすいんですよね。そう言ってもらえて嬉しい限りです！マイペースですが、更新頑張りますので宜しくお願いします！ (2月24日 1時) (
レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
ceru(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します！赤雪さんの作品の、世界観や展開、それぞれの関係性が凄く好きです！特に幼馴染の2人の関係性がとても好きです。これからも更新楽しみにしています！ (2月23日 20時) (レス) id: c99a8bf9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤雪
| 作成日時：2023年1月27日 18時
