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「あら、独り？」
阿部を逃し、一人で立ち向かう宮舘。
その前に姿を見せたのは深澤の上司だった彼女。
「それにしても、私の部下をここまで蹂躙してくれるとは流石だわ。」
周りにはボロボロの捜査員たち。
相手をしていた宮舘自体も満身創痍だった。
「……深澤を、メンバーを、騙して何がしたい？彼は貴方を信頼して尊敬したのに。その心を踏み躙って何がしたい？」
宮舘は銃を構え、相手を睨みつける。
理解が出来ないといった表情だった。
「偉いわね。仲間の為に自分を犠牲にするなんて…。感動だわ。でも、お終いよ。」
褒められた気分がしない宮舘。
むしろ、嫌悪感が沸いてきた。
「……殺すのか？」
「いや、貴方は生かすわ。言ったでしょう？欲しい人材だって。」
「あくまで仮の話として、もし、俺が貴方の味方にならないと言ったら？」
「さあ…どうしようかしら？出来れば、仮定でもそんな話なんてしたく無いわねぇ？」
ニヤリと笑う彼女に宮舘は危険な空気感を察した。彼女は胸ポケットから煙草を取り出し、口に咥え、吸い始めた。空気がゆっくりと流れている。
「そういえば、貴方を見て何となく思い出したわ。」
「え…？」
「警察官の性なのかしらね。過去の事件とか、結構、覚えてるのよ。深澤くんに頼まれて、とある少年の罪を軽く、刑期を短くしてほしいって言われた事があったわ。息子に暴力的な父親を殺した幼馴染の少年の話。」
「……っ！」
宮舘は手が震え、銃をその場に落とした。
重たい鋼鉄の塊が悲鳴を上げる。
「まあ、情状酌量の余地があるって事で確かに罪は軽かったわ。良かったわね、その幼馴染の少年は…。」
「貴方が…翔太を…。」
「翔太？あら？知ってるのかしら？」
宮舘を前にしてわざと話しているのを彼女はあえて知らないふりをする。
しかし、動揺の渦に巻き込まねている宮舘はそんな事など思考から外れている。
「早く復帰出来たのは私のお陰かもしれないわね。でも、深澤くんが絡んでいるのだから、社会復帰というよりかは闇の世界に逆戻りかしら？」
宮舘は呆然としていた。
今、自分が地に足をつけて立てているのかも分からない。それ程、脆く息も苦しかった。
「恩人には感謝してほしいわね。そういえば、その息子くんも元気かしら？」
煙草の燻った香りが充満する。
それが更に宮舘を苦しませる要因でもあった。
頭が痛くなり、危険信号だと体が教えている。
「……元気…じゃない…。」
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赤雪(プロフ) - ceruさん» コメントありがとうございます！幼馴染が好きすぎるあまり色々と書きやすいんですよね。そう言ってもらえて嬉しい限りです！マイペースですが、更新頑張りますので宜しくお願いします！ (2月24日 1時) (
レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
ceru(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します！赤雪さんの作品の、世界観や展開、それぞれの関係性が凄く好きです！特に幼馴染の2人の関係性がとても好きです。これからも更新楽しみにしています！ (2月23日 20時) (レス) id: c99a8bf9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤雪
| 作成日時：2023年1月27日 18時
