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「適当な憶測だけれど、あの子が本家から一年以上姿を消したのは伊田君が関係しているのではないかと思ってるの。帰ってきてからすぐにうちの子になったけれど、すでにあの子は警察官になることを決めていたから」
「根拠がない」
「あの子の交友関係は狭いわ。それでも口を割らないということは当時、口にしてはいけない人間だったんでしょうね。それに、これはずるだけどあの子が熱でうなされていた時になんでと聞いたの。そしたら「頼まれたから」と言っていたわ」
その言葉に服部が目を見開く。
「あの子が持つ能力はあの子が必要だと感じて手に入れたの。それをあたかも美談的に語られてきっと不快だったと思わない？決して世間一般的な「正義」と反するかもしれないことの為に身に着けたものなのに」
聡介は黙り込んだ。
「いい機会だから見守ってあげなさい。助けを求められたら助けてあげればいいんだから。ただ、まぁ、最近強力な自白剤を作っているところがあるから気をつけなさいね」
ホストクラブの件は私から話しておくわと聡介の頭と服部の頭を撫でて出て行こうとする。
「なんで今なんだよ。何回も母さんに相談したはずだけど」
「だって、あの子にも矜持があるんですもの。貴方の親でもあるけどあの子の親でもあるのよ。そうね、母親らしい言葉を使うなら、お兄ちゃんなんだから我慢なさいってところかしら。ふふっ。またね、服部君。あの子にものこされないように頑張りなさい」
と今度こそ退室した。
聡介は意味が分からんと頭を抱えている。
服部は疲れたとでもいうように椅子の背もたれに体重を乗せる。
「つくづく、そちらの女性達は思い通りいきませんね」
「五月蝿い」
というが聡介は次第に可笑しそうに笑う。
「滑稽だな。服部。守っているつもりが守られているとは」
「そうですね」
「あぁ、腹立たしい。お前と同意見なのも、自分の無力さにも」
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作者名：弥生 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=hakuoukiyayoi http://
作成日時：2022年4月22日 0時
