【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ36)

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その今大路の言葉に本気で嫌そうに聡介は顔を歪める。

「それはあの子の番だからだよ。あの子はいつも自分の幸せを犠牲に人の幸せを掴む。俺も何人も男を厳選して会わせようとしたが、服部の傍以上に素を出しているのを見たことがない」

泉を呼び、うんと苦い珈琲を頼み、淹れて来たものを一気に煽る。

「だったら、親戚に服部が含まれる不幸ぐらい飲み込むさ。あー本当に嫌だ。事あるごとにマウント取られそうで嫌だ。ムカつく」

あーでもその前に、と空になった二つのカップで遊びながら笑みを浮かべる。

「嫌な本家や分家が潰れてしまうという不幸であの子の恐怖の対象が減るという幸せを買おうかな。それなら喜んでできそうだ」

「ですが、路頭に迷った程度では接触できるのでは？」

「まともな分家もいるから手に負えるのは監視してくれるはずだ。あれらもあの子に助けられているからね。手に負えないのは警察と、裏の人間が追いかけまわすだろうね。何もしなくても終わるだろう。けど、俺は早く終わって欲しいから居場所を口走らせるかもね」

と愉快そうに言ってご馳走様と席を立つ。

「さて、軽く揺さぶってくだらない契約を破棄させに行こうかな。研究チームが頑張っておいて俺が何もしないわけにはいかないしね」

「一番の功労者が何を言っている。妹よりも実力を持っておいてよく言う」

「俺はなんでもできるからね。それこそ、血を吐くような努力をする女の子に憧れを抱く程度には」

気に喰わなさそうな顔をする由井によしよし、と書類を渡して出て行った。

「由井、それは？」

「悔しいが俺が作った栄養ドリンクの改良案だ。効果は俺のより上だし美味い」

悔し気に見たあとにシュレッダーにかけた。

「えぇ！なんでそんな事しちゃうんですか！」

夏目の悲鳴に由井はクツクツ笑う。

「参考点はあった。が、まだ改良できそうだからな。味は二の次だ」

数人の顔色が悪くなったのが分かった。